最前線で戦う若者たちの“変化”

私たちが連絡を取り続けている3人の若者の中で、いつも冷静で論理的な受け答えをしてくれるのがピ・トゥ・トェイくん(24)。技術大学出身の彼はいま、ドローン部隊の責任者として、ドローンの改造や配備にあたっています。
日下部キャスター
「ドローンが2機あるんですか?ここには」
ピ・トゥ・トェイくん
「沢山ありますが前線に送ったものもあるので、ここには2機だけです。大半のドローンは中国製です。少しだけ手を加えたもの、一から作り直したものもあります」
ミャンマー軍の圧倒的な兵力に対し若者たちはドローンを駆使し抵抗しようとしています。

空からの偵察や攻撃が可能となり、軍にダメージを与えられるようになったといいます。
日下部キャスター
「この戦闘はいつまで続くと思いますか?」
ピ・トゥ・トェイくん
「いつまで続くかは分かりません。戦場で空爆や砲撃があるのは仕方がないと思いますが、市民が避難している場所を空爆し、市民を殺害するのは戦争犯罪です。私たちは諦めません。最後まで戦うしかないのです」
いつ終わるとも知れない戦いを続けるミャンマーの若者たち。自由や民主化を求める思いは変わりません。ただ、時折みせる表情や仕草から、肉体的にも精神的にも疲弊している様子が伺われます。

イモンさん
「私たちには支援はないのにウクライナには沢山ある。武器の提供まで堂々と」
ロシアのウクライナ侵攻直後、こう語っていたイモンさん(23)。過酷な戦場にあっても決して絶やさない笑顔が印象的でした。
日下部キャスター
「ああ~!元気そうだね」
ウィン・チョウさん
「いつも笑顔、変わらず」
イモンさん
「木の上にいます。ここだとネットが繋がります」
軍がインターネットを遮断する中、少しでも電波状況を良くするため木の上に板を渡し、即席の通信所を作りました。

イモンさん
「ここには安全な場所はありません。食料は足りているとは言えません。軍がいつ交通網を遮断するか分からないので、それに備えて節約しています。朝食を午前8時頃に食べ、昼食はなく、夕食を午後4時頃に食べます」

クーデター前、イモンさんは看護師の専門学校に通っていました。いまは医療班のメンバーとして仲間の手当にあたっています。当初は戸惑うこともありましたが、今は手慣れた様子でけが人の処置にあたっています。
若者たちは戦闘の日々の中で、失われた日常を少しでも取り戻そうとしています。

2年以上にわたる闘いの中で、戦場で出会った仲間同士が結婚するケースも増えています。即席の結婚パーティーにはイモンさんも出席しました。
しかし同時に、身近な仲間が命を落とすことも珍しくありません。

イモンさん
「最近、他の部隊でいつも顔を合わせていた友人が、ミャンマー軍の空爆で亡くなりました。とても親しい人でした。当時のことは思い出したくない…」
ウィン・チョウさん
「泣かないで」
日下部キャスター
「ごめんなさいね」
イモンさん
「不思議に思うかもしれませんが、いくら悲しいことがあっても、いくらひどい目にあっても、家に帰ろうと思ったことはありません。目の前で人が負傷し、たくさんの命が失われても、私は最後まで戦います」
常に笑顔を絶やさなかったイモンさんの涙。私はもちろん、ウィン・チョウさんとマティダさんにとっても初めて見る涙でした。

ウィン・チョウさん
「早く終わりにしたいという気持ち。焦っているんじゃないけど、こういう若者たちが犠牲者になって、国を作る子たちがどんどん・・・」