■「1人じゃない」誰かの背中を押す存在に

きょうだい児・髙野恵花さん
「私もお姉ちゃんがいて、身体も動かせないし喋れないし体調も崩しやすい時期の方が多いから、風邪をひいたときに『お母さんかまって』って言いたくても言えなかったし。そもそも風邪を家に持ち込んだら、自分を責めることの方が多くて」
穂乃果さん
「私はやりたくてもやれなかったこともあるし、隠してたけど我慢してきたこともあるけど、病気のきょうだいがいることで、一緒に出掛けられるとか喋れているとか、苦労してきたからこそ嬉しいと思える。いろんな思いがあって、でも誰が悪いわけじゃないからどうしようもないけど、こうやって支えてくれる人がいっぱいいて、出会うことがすごく大切だなって思います」

心魂プロジェクト 共同代表 寺田真実さん
「今回のこの3日間は、あなたたちにとって何点でしたか?」
穂乃果さん・恵花さん
「100点満点」
寺田さん
「私たちから見たら、今までの全部ひっくるめての100点満点だと思うんだよね。甘えたいじゃん。『私がそう言ったらダメだもんな』って思ってやってきたんだよね。それでも、あなたたちはまっすぐ来た。私たちから見たら本当にすごいことだなと思う」
2人はきっと、誰かの背中を押す存在になる。心魂プロジェクトのメンバーの誰もが、そう信じています。
心魂プロジェクト 共同代表 有永美奈子さん
「苦しいことに目を背けた方が楽なことってあるし、誰かのせいにして怒りをぶつけた方が楽だと思うんですよね。でも、それを彼女たちはしない。2人がみんなから受け入れられるとは思ってないです。眩しくて見たくないっていう考え方もある。ただ、憧れてほしい」
羽田空港まで見送りに来た有永さんは、穂乃果さんにこんな言葉を掛けました。
心魂プロジェクト 共同代表 有永美奈子さん
「弱音吐いていいよ。いつも強くなきゃいけないんじゃないからね。何かあったら連絡ください」
来年3月、きょうだい児の仲間と横浜のステージに立つことが、穂乃果さんの今の目標です。

穂乃果さん
「1人じゃないんだなってあらためて思えたし、本当に必要だと思っているきょうだい児、病児に、パフォーマンスを届けたい。1人じゃないよっていうのを私がもらった分、誰かに渡せる存在になりたい」
かけがえのない出会いが、彼女を支え続けます。
*************************************妹思いの穂乃果さんですが、「中には、病気のきょうだいを愛したくても、今はまだ愛せないきょうだい児がいることも知ってほしい」と話してくれました。
きょうだい児の問題は見過ごされがちですが、彼ら彼女たちの葛藤を知ることが、家族の問題を社会の問題として捉える一歩になると感じました。