「患者様」のルーツを探る

「患者様」という言い方が出てきた背景は、2001年11月に、厚生労働省の「医療サービス向上委員会」が『国立病院等における医療サービスの質の向上に関する指針』をまとめ、当時の国立病院に対して「患者の呼称の際、原則として、姓(名)に『様』を付ける」という通達を出したことが始まりとされます。

厚生労働省の通達では、患者の姓(名)を呼ぶときに「〇〇(名前)さん」ではなく「〇〇(名前)様」と呼ぶことを求めたのであって、「患者」に「様」を付けることを求めてはいなかったのです。

「患者様」が出てきた背景は…

しかし、病院側の過剰な反応によって、「患者」にまで「様」を付けるようにしてしまったという訳です。病院側としては、医療サービス向上のために患者に対する応対や言葉遣いをできるかぎり改善しようと考えて「患者様」に改めたのだろうと考えられています。

「患者さま」が出てきた背景は…

また、接客のコンサルタントが病院に「患者様」の使用を勧めていたという事情などもあったといわれています。しかし、当時から「患者様」と呼ばれた患者さんたち自身からも、「患者様」は変な呼び方だ、違和感があるという意見も聞かれた訳です。それでは、どこが変なのでしょうか。