経験の浅い人は武器を手にすべきだったか、専門家の考えは

――18歳で入隊してまだ間もない経験の浅い人が果たしてこういう武器を手にするべきだったのか。適性はどうだったのか。津田さんはどう思われますか。

津田哲也氏: 隊員を選別する段階で、人的に問題がなかったか。それから隊の中での軋轢、トラブルということがなかったかどうか。常に監視しておく必要はあるでしょう。今回の場合も何か個人的な恨みが動機だった可能性もありそうですので、よく状況を把握できていなかったというのが今回の事件に発展したわけで、武器の管理そのものは、今の自衛隊のシステムだともうこれ以上のものはないと思うんです。だから犯罪にしろ事故にしろ、未然に防ごうと思ったら隊員のケア、メンタルのケアもしっかりやっておくべきかなと思います。

――日野基本射撃場の敷地面積は6万6000平方メートル。JR岐阜駅から東に7キロで周辺には岐阜城など観光地もあります。射撃場は、幅30m、全長340mの建物の中で行われていた。建物の内部には、石が混入していない土を厚く敷き詰めるなど、高い安全性を確保している。石に銃弾が当たってしまうと、弾が衝撃でどこに行くかわからないからという理由だそうです。近隣への影響を低減した射撃場だということです。

自衛隊の管理体制、武器の管理も設備も万全に整えられていたと思います。普段はトラブルが起きないように、例えば駐屯地の中で警備にあたる自衛官が銃を持っておりますが、着脱式の弾倉を取り外して持っております。格好だけなんです。危険性がないようにされております。そこまで気を遣っているわけですから通常は事件事故起きないのが本来の自衛隊のあるべき立場というか使命なんでしょうけども、今回は残念で、ちょっとありえない事件でした。(2023年6月14日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

◎津田哲也氏(銃器評論家 映画・ドラマ、漫画などの監修手掛ける 著書「銃社会ニッポン」など)