楠田氏が立候補を表明したのは4月25日。青森市浪岡にある妻の実家のリンゴ園で手伝いをするうち、自分の手で青森県を活性化させたいと思うようになりました。

※楠田謙信氏
「サラリーマンもつらいけど農家・一次産業をやっているひとはもっとつらい。そこをなんとか底上げしたい。自分の考えた公約が青森県民に受け入れられるのであれば勝機も少しはある」
こうして臨んだ選挙選、現実は厳しいものでした。当選した宮下宗一郎氏はむつ市長としての実績や知名度がありました。さらに、SNSも積極的に活用したことで県内全域に宮下氏を支援する草の根運動が広がります。これに対して、楠田氏が活動したのは津軽地方だけで、自分でポスターを張ったり沿道で手をふったりして、知名度の向上から取り組んでいました。

※楠田謙信氏66歳
「しょっちゅうくじけてるよ。だけど営業の時に比べれば何でもない。ちょっと1杯ジュース飲んで「よしがんばろう」とまたやりだしますよ」

選挙で当選するためには支援組織の「地盤」、知名度の「看板」、そして選挙活動をするための資金力をさす「鞄」、いわゆる「3つのバン」が必要だとされています。楠田氏が選挙戦で特に感じたのは「地盤の弱さ」で、次第に弱気な発言を口にするようになります。