同性婚を認めない民法などの規定は憲法に違反するとして、3組の同性カップルが国を訴えた裁判。福岡地裁は、「違憲状態」とする判断を示しました。

同性婚が認められないことによる不利益とは?

加藤シルビアキャスター:
8日、福岡地裁で、同性婚を認めないのは「違憲状態」であるという判断が出されました。詳しく見ていきます。

3組の同性カップルのうちの1組、こうすけさんと、まさひろさんは「同性婚が認められないのは、婚姻の自由や法の下の平等を保障する憲法に違反する」と訴えています。現状、お二人は事実婚です。法的には家族ではありません。

これによってどういった不利益を被るのかといいますと、例えば住宅購入時のローンを共同名義にできないですとか、年末調整のときに“パートナーなし”として提出しなければならないといったことが挙げられます。

対する国側は、「同性どうしの結婚は憲法で想定されていない」という主張です。そして8日、注目の判決が出ました。

福岡地裁 上田洋幸裁判長
「婚姻制度で得られる利益を一切享受できず、法的に家族と承認されないという重大な不利益を被っている」
⇒違憲状態

実は同性婚については、全国で集団訴訟が行われています。5か所あり、それぞれ見ていくと札幌地裁と名古屋地裁は「違憲」。東京地裁と今回の福岡地裁は「違憲状態」。そして大阪地裁は「合憲」ということでした。

これについて、家族法に詳しい早稲田大学法学学術院の棚村教授は、このように指摘しています。

早稲田大学法学学術院 棚村政行教授
「札幌や名古屋のように踏み込んだ判断でなかった点は残念だが、同性カップルの生活上の不利益や精神的な痛みを理解し、違憲状態と判断したことは非常に評価できる」

「5つの裁判所のうち、4つが人権侵害を認め、立法府に対してこの問題について取り組むよう求めている。立法府は重く受け止めるべき」

ホラン千秋キャスター:
今回の判断も含め、この課題について星さんはどのように思われますか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
憲法だと、婚姻は両性の合意のみによって成立するということになっており、その解釈もいろいろありますが、基本的には他から強制されない規定だ、という解釈が最近は出ています。

ですから私は、こういうことで同性婚も認めていく流れになるのは当然だと思います。現状は同性婚が認められないことによって、その不利益を被っている人がいるわけですから、そこにちゃんと救いの手を差し伸べていくのが政治の役割です。すぐの法改正は無理だとしても、その手立てを講じていく必要があると思います。

ホランキャスター:
そこに関しては「なかなか重い腰が上がらないな」という印象がありますが…。

星さん:
もちろん法解釈の問題というのもありますが、やはり保守派のなかでは、同性婚を認めることへの抵抗が非常に強いですね。自民党のなかにも、かなりそういう勢力があります。

この問題は、例えば選択的夫婦別姓にも繋がりますし、場合によっては女系天皇や女性天皇にも繋がるのではないかとも議論されています。それに対して保守的な勢力からは反対する声がありますが、やはりいろいろな政治の場で議論をしなければいけません。

特に岸田総理はどちらかというと理解があるほう。不利益を被っている人たちには対応する必要があると思いますね。