岩手県内で唯一、宿泊型の「産後ケア」に取り組む奥州市は、新型コロナの影響で休止していた宿泊の受け入れを8日、3年ぶりに再開しました。

 宿泊型の産後ケアが再開された奥州市の総合水沢病院の一室です。再開初日の8日は、市内に住む菊地沙紀さんと長女で生後4か月の珠季ちゃんが1泊の予定でサービスを利用していました。

(菊地さん)
「夫が市の広報を見て『宿泊ケアが再開するよ』と。ぜひ利用したいと思いました」

 奥州市では去年4月、市内で出産できる医療機関がなくなりました。そのため、出産後の母親の心身の回復と育児サポートを目的に市が進めてきた「産後ケア事業」の重要性は増しています。

(奥州市総合水沢病院 遠藤恵 看護部長)
「(市内の)産科は生めるところがなくなってしまいました。市と連携して当院で産後ケア事業を行って、産んだ後にお母さんの心・体のサポートができれば」

 奥州市の産後ケア事業には「宿泊」のほかコロナ下も続けられてきた「日帰り」「訪問」のサービスがあり、利用の対象は、奥州市在住で生後5か月未満の子どもを持つ母親です。
 これまで有料だった「宿泊」と「日帰り」は、県の補助金を活用し、再開にあわせて無料となりました。

(遠藤恵 看護部長)
「(コロナで)宿泊が止まっていましたがきょうから再開できる。助産師、市、病院も喜びでいっぱいです」
(菊地さん)
「事前に日帰りケアを利用していたので赤ちゃんの様子を丁寧に聞いてくださりありがたかったです。初めは病院ということで緊張もありましたが、温かく出迎えてくださり、安心して利用できました。また今後も機会があれば利用したいと思っています」

 市によりますと日帰りケアは6月いっぱい、宿泊ケアは7月いっぱいまで予約で埋まっているということで、今後も多くの利用が見込まれています。