地震でエレベーターが停止

佐藤梢さん「一人の百歩より、百人の一歩という言葉があるように、きょうがそのような日になればいいなと願い、我が家の経験をお話しさせていただきます」

こう切り出したのは佐藤梢さんです。娘が難病で、手足を自由に動かすことができません。普段はバギーと呼ばれる車いすを使って移動します。集合住宅の4階に住んでいますが、大きな地震があるたびにエレベーターが停止します。2021年2月の福島県沖地震では、復旧までの3日間、自宅に閉じこもる生活を余儀なくされました。

佐藤梢さん

佐藤さん「このときに一番困ったのが、食料と娘の通院です。丸3日も停止するなんて思っていなかったので、余裕があるほどの食料もなく、ふりかけご飯やお茶漬けを食べ、肉、野菜、魚を摂る生活はできませんでした。定期通院の予定もあり、薬の予備も3日分だけという、とにかく焦る状況が続きました」

娘の体重は24キロ。車いすや必要な物品を含めると60キロ近くになります。外に出るまでの階段は80段。移動には最低でも大人4人が必要で、エレベーターの停止はまさに「死活問題」です。佐藤さんは、災害のたびに娘の日常が奪われる現状を訴えました。

佐藤梢さん「本人中心の支援って何だろうと考えさせられます。娘にとって、学校生活やデイサービスに通所するのは楽しい日常です。そこを諦めなければならないということは胸が痛みますし、エレベーターが停止したら障害者は日常生活を送れないよね。仕方ないよねというのが現状です」