鍵は新型の車いす「PS―1」にありました。
利用者の身体のサイズにあわせ調整ができるという、これまでありそうでなかった車いすです。

開発したのは東北福祉大学の関川伸哉教授です。
東北福祉大学 関川伸哉教授
「車いすでこんなに変わると思わなかったという意見は多い。車いすが身体の一部だという考えが浸透していない。」

これまでの福祉用車いすは、海外製が多く病院などで使用するため、誰でも乗せられるよう大きく作られてきました。

このため体の小さい高齢者には大きすぎて背中が曲がったり傾いたりして、体を動かせなくなるケースがあるというのです。

西川さんの場合、これまでは足が地面に届かなかったため、1人で動くことができませんでした。

東北福祉大学 関川伸哉教授
「最初に見たときから傾いていた、ずっこけていた。そういうものだ、歳なので仕方がないと思っていた。車いすは全部同じだと思っていたと」
PS―1では、高齢者の体格に応じて腰かける座面の長さなどを自在に調整できようにしました。

東北福祉大学 関川伸哉教授
「高齢者は足の機能は低下しているが障害で動かなくなっている訳ではない。
歳を取っても車いすに座っても足を動かせるようにすることは重要」
従来の車いすとPS―1での姿勢を比べてみると、PS―1の場合骨盤から背骨にかけてまっすぐに伸びています。
骨盤が背もたれにしっかり当たるように調整したためです。

さらに足が地面に届くように高さを調整した結果、西川さんは姿勢が良くなり、
自然と体が動かせるようになったのです。
東北福祉大学 関川伸哉教授
「驚いたことに、車いすを体に合わせたら変わる、活動的になる。動くようになる。データは少ないが寝たきりになる人がいない」
姿勢が良くなったことで西川さんは食事で食べここぼしもなくなり、毎日が楽しいといいます。
今後、西川さんは筋力が低下している腕を使って移動することにもチャレンジする予定です。
西川良子さん
「お肉が好き。まるまると太っているといわれる」
第二白東苑 坪井啓彰副主任
「動けることで生活の質の向上、介護職員の負担も解消につながる」
第二白東苑 千葉智副主任
「介護についての考えが180度変わった」
東北福祉大学 関川伸哉教授
「宇宙に人が飛んで新幹線で移動して、みんなが最先端技術の恩恵を受けているのに、高齢者は恩恵を受けていない。どうにかならないか、苦節10年間、約50台(試作を作った)」