「ばれると笑われる」「うそを重ねて生きていた」福岡市に住む男性カップルの“まさひろ”さんと“こうすけ”さんは心をすり減らしてきた。しかし、偏見や差別に満ちた時代は少しずつ変わり、社会は性的指向の多様性を受け入れ始めている。「そういうのもあるんじゃないのって見方が増えてきている(本人)」。2人は披露宴を開き関係を対外的に公表。周囲からもパートナーと認識されることで「気を張らず生活していけるようになった」という。その一方で“変わっていない”のは国の制度だ。国内で同性カップルが法的に家族になることは許されず、ローンの共同名義や各種税制などの男女のカップルであれば得られる経済的なメリットも享受できない。2人は訴える「家族の形は国が決めるものじゃない」と。全国で5件が進行中の国に同性婚を求める訴訟は、「合憲」「違憲」「違憲状態」と各裁判所の判断がわかれている。福岡地裁は8日、地裁レベルでは最後の判決を言い渡す―。


◆法的には“他人”、年末調整では家族「なし」


こうすけさんとまさひろさんの2人は「同性婚」が認められない事による制約をこう語る。

まさひろさん・こうすけさん「住宅を購入する時のローン。今も共同の名義にすることもできてないですし」「収入を合算してローンを組むこともできませんでしたので、自分の選べるものが狭まる」「年末調整の時もパートナーがおりますけども、そこにはいないと提出しなければなりません。こうして2人で生活をしていますけど、社会上の立場が他人ということであるので職場でも“いない”と申請しなければならない、それは心が痛む」

友人の紹介で知り合った2人は2017年に交際を始め同居。おととしには「事実婚」の披露宴をあげた。披露宴では満面の笑みを浮かべたが、それぞれが苦難の道のりを歩んできた。

まさひろさん・こうすけさん「オカマ、ホモとかってネタにされていた。笑っていい存在だって社会全体でそういう雰囲気を出していた時代でこのことは墓場まで持っていくと感じていた」「嘲笑の対象だった。ばれると自分も笑われる対象、仲間はずれにもなるし、家族にも受け入れられなかったら、自分の居場所、家庭もなくなってしまうって思っていたので、うまくうそを重ねて生きていたなと思います」