深刻な秋サケの不漁が続くなか、岩手県大槌町の研究施設では、サケの稚魚の生態を解明しようという研究が進められています。
大槌町にある東京大学大気海洋研究所で生物の研究を行う峰岸有紀准教授は、放流されたサケの稚魚の大槌湾内での分布や生態を北海道大学と共同で2017年から調査しています。
調査に用いられているのは、環境DNA検出という手法です。環境DNAとは大気中や海の中など、環境の中に存在する生物の細胞や排泄物などが由来のDNAのことです。水を採取しこれを分析することで様々な情報が得られます。
(東京大学大気海洋研究所 峰岸有紀 准教授)
「湾の中の分布が分かっていなかったのがある程度見えるようになったことは大きい。1月から6月上旬から半ばくらいまで湾内に稚魚がいることが分かった」
サケは、私たちにとってなじみの深い魚でありながらその生態はほとんど解明されていません。
(峰岸准教授)
「この次は大槌湾とか三陸を出たサケがオホーツク海に行くんですが、どのルートを通ってオホーツク海に行くのかというのをひとまず環境DNAの手法をを使って当りをつけて、そこから個体を捕えるところまでいって回遊経路を明らかにできればと考えています」
不漁が続くなか峰岸准教授は、三陸のサケの生態にあったふ化放流技術の開発に向けて研究を続けていくと話しています。