足が麻痺した脊髄損傷の患者に、脳からの命令を無線で神経に飛ばす装置を移植し、歩く機能を回復させたとする研究をスイスの大学のチームが発表しました。

歩行器に手をかけて歩く男性。12年前に自転車の事故で脊髄を損傷し、歩けなくなっていましたが、脳から命令を無線で腰の近くの神経に飛ばす装置を移植したことで歩行できるようになりました。

歩く機能を回復させたのはスイス連邦工科大学ローザンヌ校などの研究チームで、24日、イギリスの科学誌ネイチャーに発表しました。

現地メディアなどによりますと、まず男性の脳に直径5センチの電極を移植し、脳波を読み取らせます。そこから得たデータをコンピューターが分析した後、背骨に埋め込んだ装置に無線で伝達し、神経を刺激して筋肉を動かす仕組みです。

男性はリハビリを重ねると、杖を使えば装置を稼働しなくても歩けるようになったということです。

今回の研究は男性1人だけのデータですが、研究チームは、この方法を応用すれば、手や腕の動作を取り戻すことができると予測していて、今後、複数の参加者を募って臨床試験を行いたいとしています。