「商いの道は人の道」。受け継がれる近江商人の魂

たねやグループのお菓子は、時代に合わせて姿や味を変えている。2022年から、これまで廃棄していたカステラのみみ部分の販売を始めた。

たねや営業部 広報室室長 青木志歩氏:
カステラのみみの部分は、今まではきれいな商品ではないですし、廃棄をしてしまっていた部分なのですが、やはりフードロスの問題もありますし、本当に美味しいところですので。
味に変わりもなくリーズナブルな価格から、今や毎日完売の人気商品になった。表面が不揃いな栗饅頭も5個入り324円で提供している。環境に配慮したお菓子作りは容器にも変化をもたらした。2022年までゼリーの容器にプラスチックの容器を採用していたが、23年からはより再生率の高いアルミの容器に切り替え、23年の販売分で3.8tのプラスチック削減を見込んでいる。

カーボンニュートラルの実現に向け、バームファクトリーの屋根に太陽光パネルを設置。ラ コリーナ近江八幡で使用する電力の8分の1を発電している。自然とともに歩み続けるたねやグループの経営理念は創業当時から変わらない。
たねやグループ 山本昌仁CEO:
和をやろうが洋をやろうが、いろいろな世界の国のお菓子をやろうが、たねやに流れている源流は変わらないという考え方です。
――たねやの幹は何か。

たねやグループ 山本昌仁CEO:
私どもには「天秤道」「黄熟行(あきない)」「商魂」という理念があります。ここの部分を非常に大事にしています。天秤道は商いの道です。商いの道は人の道であるということを忘れてはいけない。黄熟行は手塩にかける。思いやりや真心を商売の中で忘れてはならない。商魂は商いの魂。今日いかにお客様に喜んでいただけたかの心。今日いかに儲けたかということではなく、本当にここに来てよかったなと思って帰っていただくのが繋がっていくんですね。私どものスタッフも、今日働いて本当に楽しくやれたのかということが大事になってくると思います。
――今のSDGsの動きと自然を大事にしようというたねやの幹の部分がつながっているか。
たねやグループ 山本昌仁CEO:
そうですね。SDGsは、最近言われた言葉ですが、そもそも近江商人は「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」。これこそは誰一人取り残さない社会を作っていく大事な精神です。三方よしだからこそ、私達はその精神をSDGsを利用して、国連に滋賀県の、日本のいいところをどんどん発信できたらなということで。この精神を一人でも多くの商いされている方に伝えていきたいなと思います。
(BS-TBS『Bizスクエア』 5月20日放送より)