世界最速男が横浜を疾走する。ゴールデングランプリ(GGP)2023横浜が21日、今年は横浜市の日産スタジアムを舞台に15種目が行われる。前日の20日に行われた記者会見では、男子100mのフレッド・カーリー(28、米国)、坂井隆一郎(25、大阪ガス)らが出席。昨年の世界陸上オレゴン金メダリストのカーリーが、“計画通り”という言葉を強調していた。坂井も武器であるスタートで、カーリーからリードを奪うプランで挑戦する。

カーリーが強調した計画通りの速さ

野性味を感じさせるカーリーだが、自身の走りについては緻密に組み立てる。前日会見では“計画通り”という言葉を何度か発していた。

「明日は速いレースを期待してほしい。そのためには自分のプランをきちんと実行することが大切だが、計画通りにできれば、いいタイムは出る」

会見の冒頭から自信満々に話した。

「陸上競技は動き、フォームすべてを、正しい形で完璧に実行する必要がある。“計画通り”にと話したが、スタートから中間、フィニッシュまでのすべて動きを完璧にできれば、速いレースはできる」

この考え方は、先に強くなった種目が400mだったことも影響しているのかもしれない。カーリーは19年までは400mがメイン種目で、同年の世界陸上ドーハ大会では銅メダルを獲得。21年に100mにも進出して東京五輪で銀メダルを取った。

ロングスプリンターが100mを走る場合、後半に強さを発揮することになるが、前半で大きく離されると焦りが生じやすい。そうならないためにもスタートからしっかり出て、中間の走りに結びつけ、得意の後半で勝負をつける。その展開を可能にするための動きを確実に行う。そのノウハウを、カーリーは身につけたのではないか。

実際、オレゴンの動画を見ると、前半も大きく後れることはない。
今大会出場選手の自己記録の比較では、カーリーの9秒76がトップで、9秒98の桐生祥秀(27、日本生命)と小池祐貴(28、住友電工)が続く。大会前のイベントに出席した際、目標はウサイン・ボルト(ジャマイカ)の持つ世界記録(9秒58)と話したが、これは将来的な目標だったのかもしれない。会見で具体的なタイムは出さなかったが、それはレース後にわかるだろう。

昨年のオレゴンでは200mの準決勝で脚が痙攣して決勝に進めなかった。
「大きな計画という意味では、世界陸上ブダペストで100mと200mの2種目で金メダルを取るつもりだ。トレーニングの段階からコーチの話をよく聞き、すべてを予定通りに遂行することができれば結果はついてくる」

男子短距離2冠を世界陸上で達成すれば、15年北京大会のボルト以来。そこに至る計画にGGPの走りが組み込まれている。