ゴールデングランプリ2023横浜が21日、横浜市の日産スタジアムを舞台に15種目が行われる。昨年の世界陸上オレゴン大会金メダリストが3人、男子100mのF.カーリー(27、米国)、走幅跳の王嘉男(26、中国)、女子やり投のK.バーバー(31、豪州)が参戦する。日本勢も女子やり投オレゴン銅メダリストの北口榛花(25、JAL)、男子走幅跳東京五輪6位入賞の橋岡優輝(24、富士通)ら、充実したメンバーが迎え撃つ。

今大会はワールドアスレティックス(世界陸連)が主催するOne-Day競技会のシリーズのうち、世界で14大会のみが指定されているコンチネンタルツアーゴールドに格付けされている。順位に応じて付与されるポイントが非常に高い「Aカテゴリー」の大会だ。ワールドランキング上位に入ることによる世界陸上ブダペスト(8月開催)の出場資格を目指す上で、より多くのポイントを獲得することができる重要な競技会だ。

世界陸上初の男子短距離3種目目のメダル獲得に向かうカーリー

米国初開催となった昨年の世界陸上オレゴン大会は、かなりの盛り上がりを見せた。男子100mのカーリーは、米国勢3人が9秒86~88でフィニッシュする激戦を制した。「アメイジングだ。100mのメダル独占をホームでやってのけたんだから」。

91年東京大会の米国以来31年ぶりの、男子100mメダル独占だった。91年の金メダルはカール・ルイスで、200mと走幅跳でも世界一になっていた選手。そしてオレゴンのカーリーも、短距離3種目をこなすマルチスプリンターとして、世界一の評価を受けている。

14、15年は100m、200m、400mの3種目を走っていたカーリーだが、16年からは200mと400mに絞った。17年には400mで43秒70とシーズン世界2位をマークし、世界陸上ロンドンでは7位に入賞。19年には43秒64まで記録を伸ばし、世界陸上ドーハでは銅メダルを獲得した。

新型コロナ感染が拡大した20年はほとんど試合に出られなかったが、21年の出場種目は100m、200m、400mの順に多く、400mは数えるほどしか出なかった。200mはオリンピックトライアル4位で代表入りできなかったが、100mは3位に入って代表入り。東京五輪では銀メダルを獲得した。

代表を逃した200mだが、8月のダイヤモンドリーグ・パリ大会優勝時に19秒79をマークしたことに意味があった。100mでは22年全米選手権準決勝で9秒76をマーク。100m9秒80未満、200m19秒80未満、400m44秒00未満を記録した史上初のスプリンターとなったのだ。

200mのメダル獲得は昨年も可能性があったが、オレゴンの準決勝で脚が痙攣。決勝に進めなかった。100mの金メダル獲得直後には、「このメダルは自分が3種目でメダルを獲得できることを意味している」とコメントしたカーリー。世界陸上初の男子100m、200m、400mのメダル獲得選手の誕生は、今年の世界陸上ブダペスト大会に持ち越されることになった。

今季のカーリーは2月に豪州で200mを20秒32で走り、3月にはやはり豪州で400mを44秒65で走った。どちらも冬期練習の一環だろう。そして5月5日にダイヤモンドリーグ・ドーハ大会200mに出場。19秒92で優勝した。この種目のオレゴン銀メダリスト、ケニー・ベドナレク(24、米国)に0.19秒差をつける快勝だった。

100mはGGPが今季初戦。ドーハの200mのタイムから9秒90前後が予想されるが、追い風などのコンディションが良ければ9秒80前後まで出るかもしれない。

ブダペストでは100mの連覇と200mとの2冠が目標になる。3種目メダル獲得の快挙に向かうプロセスを、横浜でしっかりと見届けたい。