1人から100人にうつった例も 感染力はウイルス‟最強” 


「はしか(麻しん)」とは、はしかウイルスによって引き起こされる全身感染症です。

≪症状≫
▼39度以上の高熱
▼全身に発疹
▼咳・鼻水
▼目の充血・目やに
▼口の中に白い斑点

症状のピークは発症後7日目頃。
合併症としては肺炎や中耳炎、脳炎などがあり、1000人に1人の割合で死亡する可能性があります。

特に妊婦は、感染すると流産や早産をひき起こす恐れもあり、注意が必要です。

≪感染経路≫
空気感染、飛沫感染、接触感染

≪感染力≫
感染力がとにかく強いことで知られています。
インフルエンザでは1人の感染者から1~2人に感染させるのに対し、はしかの場合、1人の感染者から12~14人に感染する恐れがあります。
2018年には、1人の感染者から100人以上に感染が拡大した例もあります。

手洗いやマスクなどでは予防することができません。
ただ、感染すると一生免疫が持続すると言われています。

ーー何より感染力が強いですね。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
空気感染ということが、感染力の強さに反映されていると思います。
もちろんある程度冷静に受け止めてほしいなと思うものの、やはりワクチンなどの効果を持っていない、あるいは感染したことのない人がウイルスを吸い込んでしまうと、感染してしまう可能性がありますので、要注意だと思います。

ーー感染すると一生免疫が持続する。ここはコロナとは違うところですね。

伊藤院長:
そうですね。かなり大きく違うところで、50代以上の人の多くは、むしろ1回感染して、もうこれで大丈夫だと親御さんも安心したという時代があったと思う。
時代が時代ですから、一部の人は重症化することはあったとしても、ほとんどの人はそれで治って「終生免役」を得るという時代だったと思うんですけど、今は感染するということはほとんどないわけですから、若い人たちは終生免疫を得るということはほとんどない。
ですからワクチンを除くと、予防が非常に難しいという状況ですね。

ーー薬はあるんですか?

伊藤院長:
一部にはあります。感染した初期にグロブリンを投与したり、ワクチンを早期に打つという方法もあるんですけど、この使い方は限定的で、期間も限定されています。
しかもキットがあるわけではないので診断が容易ではなく、現実的にはタイムリーに使うのが難しい状況だと思います。

ーーPCR検査で「はしか」だと分かるんですか?

伊藤院長:
採血とPCRの両方がありますが、採血には時間もかかったり、特異度(正しく陰性と判定する確率)に限界がある。
現実的には、コロナの当初のPCRと同じように、喉の奥からぬぐって、保健所を通して検査に出すので、なかなか診断のアプローチも容易ではないです。