長野駅前にある老舗の喫茶店が、20日に閉店します。

45年にわたって店を守り続けてきたのが、84歳と75歳の兄弟です。

閉店を決断した理由と、多くの人に愛されてきた店の魅力を取材しました。



長野駅から歩いてすぐの場所にある「三本(みつもと)コーヒーショップ」。

レンガ作りの外壁と、どこか懐かしさを感じさせる食品サンプル。

その昭和レトロな佇まいで、多くの人に愛されてきました。

店は、今年で創業から65年。

マスターで兄の中村利邦(なかむらとしくに)さんと店長で弟の民利(たみとし)さんの兄弟2人で切り盛りしてきました。

しかし…

■中村利邦マスター
「高齢化。もうどうしようもない」

84歳の利邦さんと、75歳の民利さん。

後継者はおらず、高齢化を理由に20日の土曜日に店を畳むことを決めました。

戦後間もない昭和25年、中村さん兄弟の父親が自転車の預り所を創業したのが、店の始まりです。

その後、大衆食堂などに形を変え、現在の喫茶店になったのは昭和53年・1978年のことでした。

■中村利邦マスター
「(戦後から)世の中もう落ち着いてきた。こういう時代だからアメリカンスタイルのコーヒー専門店でやったらどうだ」

店自慢のコーヒーは、豆から挽き、サイフォンで抽出しています。

大衆食堂の時からこのスタイルを守ってきました。

しかし、年齢を重ね、一つひとつの仕事をこなしていくことが難しくなり、店を閉めることを決めました。

■中村利邦マスター
「体力は維持できるけど、精神力というか、これの衰えがどうにもならない」

5月の頭に閉店を発表すると連日混み合い、常連客も別れを惜しむように店に通っています。

■40代の常連客
「週3回は来ます。食べるものも飲むものも美味しいですし閉店まで毎日来ます」