大手電力7社の電気料金の値上げが事実上、決まりました。背景にあったのは、経済産業省と消費者庁の激しい攻防でした。

西村経産大臣
「前例にとらわれず最大限の効率化を求める厳格な査定を行った」

政府はけさの関係閣僚会議で、大手電力7社が火力発電のコストが上昇しているなどとして国に申請している家庭向けの電気料金の値上げについて了承しました。

値上げは6月1日からで、上げ幅は最も低い東京電力で15%あまり。最大の北陸電力は40%近い値上がりです。

【 経産省 vs 消費者庁 】

およそ半年続いてきた電気料金の値上げをめぐる動き。なかでも目立ったのは、▼大手電力の業績が悪化するなか電気インフラを守りたい経済産業省と、▼値上げに苦しむ利用者目線の消費者庁の対立でした。

大手電力では料金競争を阻害するカルテルなどの不祥事が相次いでいて、消費者庁は「不祥事が電気料金に影響したのでは」と主張。一方、経産省は「直接的な影響は確認できない」として、議論は平行線をたどりました。

経産省の幹部は「落とし所に困っている」と頭を悩ませていたほか、別の幹部は「立場上必要なことを言っているだけだ」と冷ややかな声もきかれました。

ただ最終的に消費者庁は、経産省が「高コスト体質」と指摘された大手電力の審査体制の強化などを行うことを前提に値上げを容認しました。

電力業界に根付いている高コスト体質を本当に改革できるのか、経産省による厳しいチェックが求められています。