アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが実権を握って1年。首都カブールで住民が「地獄」と呼ぶ場所を取材しました。橋の下には大勢の薬物中毒者たちの姿が…貧困の中で市民が薬物に蝕まれている現実がありました。
(2022/08/17公開記事)

■記者のすぐそばで・・・女性活動家のデモにタリバンが銃で威嚇

8月13日、アフガニスタンの首都カブールで行われた女性の権利を求めるデモ。女性たちは「パン、仕事、自由」とシュプレヒコールを上げます。

すると、タリバンの戦闘員が現れ、空に向け、次々に銃を撃ち始めたのです。

ここから100メートルほどの場所にいた中東支局の須賀川拓記者。

「今、ちょうど女性活動家のデモがここから100メートルくらい先で行われていたんですよ。これ爆竹じゃないね、明らかに」

話している間も銃声が鳴り響きます。

須賀川記者
「ついさっきタリバンが走り始めたんですよ」

女性たちはデモをストップし、逃げるようにしてその場を去りました。


■放送局への抑圧も 女性キャスターは顔を覆わないと罰則

デモを取材していた地元の独立系メディアの女性記者が一時拘束されました

TOLOニュース記者 トバ・ワリザダさん
「いきなり暴行されそうになったから『私がどんな悪いことをしたの?』と聞いた。すると『黙っていろ』『何も話すな』と言われ連行された


ワリザダ記者が働くアフガニスタンの最大手独立系メディア「TOLOニュース」はタリバンによる実権掌握以後も積極的に活動していて、この1年で採用した社員の7割は女性だといいます。

TOLOニュース マネージャー ヒクマット・サフィさん
「(タリバン政権になって)彼女たちが安全に働ける場所が無くなってしまった。しかも男性よりも機会が少ない。私たちは女性に自由に働ける場所を提供したかった」 


タリバンによる抑圧は日が経つにつれ厳しくなっているといいます。生放送中のスタジオでは。

須賀川記者
「女性キャスターはヒジャブを被るだけでなく、顔に黒いマスクをつけなければいけない。これはコロナ対策ではありません」


タリバンは全ての放送局に対し、女性の出演者は顔を黒い布で覆うよう指示を出していて従わない局は罰則を受けると定めているのです。

TOLOニュース キャスター ソニア・二アジさん
「マスクによって私たち女性の個性が失われていく感じがしている」 

これまでのところ放送内容への介入はないものの、危機感は募っているといいます。