望まない妊娠を防ぐための緊急避妊薬。多くの方から「薬局で販売してほしい」という声が集められていますが、薬局で買えるようにすべきかどうか、またメリットと懸念点について産婦人科医と考えます。
緊急避妊薬 処方箋は?
日比麻音子アナウンサー:
緊急避妊薬とは、意図しない妊娠を防ぐ“アフターピル”のことです。

ちなみに、ピルと言うと、生理痛の軽減や避妊の効果、また月経の時期を調整するといった目的で使われる「低用量ピル」というものもありますが、これは“アフターピル”とは別物です。「低用量ピル」に関しても、“アフターピル”に関しても、現在日本では医師の処方箋が必要なものとなっています。一方で海外に目を向けてみると、アフターピルに関しては、およそ90の国と地域では処方箋なしで薬局で購入することができます。
日本においても薬局で購入できるようにならないだろうかということで、厚生労働省では5月12日、薬局で買えるようにすべきか議論が行われています。
日本では“アフターピル”に関しては処方箋が必要ということですが、処方までのプロセスはどのようなものなのか、また、処方箋が出ない場合はどういう状況になるのでしょうか?
産婦人科医 栄美玄氏:
基本的に“アフターピル”というのは、黄体ホルモンでできたお薬で、怖い副作用というのは特にないです。ただ、例えば最後の生理日や生理周期についてお話を伺って、既に妊娠してる可能性がある方については、先に妊娠しているかどうか判別する必要があるのと、低用量ピルやホルモン剤を生理痛のために使用している方については、「それ飲んでたら避妊はいらないですよ」と伝えるケースもあります。
日比アナウンサー:
処方箋を出さないためというわけではなくて、状況を把握するための診察が必要ということですね。
井上貴博キャスター:
日本は不妊治療や中絶治療に関して圧倒的な後進国だと思うんです。女性が自分の体のことなのに決定権を持てないような、異常な状況だと思うんですけど…
栄氏:
“アフターピル”もそうですし、まず避妊とか中絶に関するものが全額自己負担で医療費が必要ですよね。例えば中絶ですと、配偶者の同意要件というものがあります。確かに、自分の体のことを自分で決められないような状況があるかと思います。
井上キャスター:
これを阻んでいるのは何なんでしょうか。
栄氏:
まずは性教育が不十分であること。学校で生きていくために必要な知識を教えてもらえない。あとは、費用も含めアクセスが整っていないところもあって、本当にいろいろな要因があります。
日比アナウンサー:
薬局で販売するのかしないのかという議論に対して、パブリックコメントが多く寄せられましたが、その約9割が賛成意見でした。

▼賛成意見
「緊急時が休日・時間外や産婦人科が近くにない場合に入手できるのはありがたい」
「自分の判断で薬局で購入できることを希望する」
▼慎重意見
「医師への相談を経ずにアクセスをすることへの危うさも残されているのではないか」