岡山県瀬戸内市にある国のハンセン病療養所「長島愛生園」では、かつての患者たちが強制的に隔離された歴史を、遺構などの見学会を通し長年に渡って伝えています。きょう(12日)も地元の中学生が訪れ、差別と偏見の歴史を学びました。

(長島愛生園 歴史館学芸員 田村朋久さん)「ここにある桟橋は『収容桟橋』といいまして、当時多くの患者さんが利用した桟橋。

当時入所なさった方にとっては、社会やご家族とお別れになった、そんな場でもあるわけです」


見学会は人権侵害の歴史を深く学んでもらおうと20年以上前から団体向けに行われているもので、きょう(12日)は邑久中学校の3年生約130人が参加しました。

国は人権を無視して強制的に隔離する政策を進めました。


(長島愛生園 歴史館学芸員 田村朋久さん)「クレゾールという消毒液の入ったお風呂に入れられたんですね、とても臭いの強いお風呂だったそうです」

生徒は収容した患者の体を消毒した施設や、園から抜け出そうとした人を監禁した監房の跡、それに納骨堂などを見て差別と偏見の歴史を学びました。

(長島愛生園 歴史館学芸員 田村朋久さん)「そもそもなぜ療養施設に、納骨堂が必要なのかっていうことなんです。

入所なさった方はもちろん、そのご家族ご遺族も大変な差別にあっていたんです。

ご遺族が気にした周囲の目っていうのは、誰の目だったか。

それは私たちの目です」

(生徒)「入所者の方々が、どれだけ辛い気持ちだったかしっかり分かったので、絶対に差別はしちゃいけないなと思いました」

(生徒)「もっとハンセン病について知って、家族とかいろんな人に、きょうあったことを伝えていきたいなと思いました」

長島愛生園では今後も見学会が続けられます。