「特別軍事作戦」から「本物の戦争」へ 表現変更の狙いは
――プーチン大統領の「本物の戦争」という表現ですが、どういった狙いがあるのでしょうか?

赤の広場はまだ封鎖されていますが、周辺の規制はすでに解除され、現在は観光客の姿が戻っています。
プーチン大統領は演説の中で「われわれの祖国に対し、再び本物の戦争が開始された」と述べ、これまで「特別軍事作戦」と称していたウクライナ侵攻について「本物の戦争」という表現を使いました。ただ、あくまで西側諸国から仕掛けられたものであり、西側が「ロシアの崩壊を求めている」と主張し、ウクライナ侵攻を、祖国を守る戦いと位置づけて正当化するとともに侵攻を継続する姿勢を示しました。
旧ソ連がナチスドイツを破り「大祖国戦争」と呼ばれる第2次世界大戦と侵攻を重ね合わせ、国民の団結を呼びかけた形です。
一方、パレード後のこの時間帯は例年、第2次大戦の戦死者らの遺影を掲げて市民が行進する「不滅の連隊」が行われてきましたが、今年は全土で中止となりました。
表向きは「安全上の理由」ですが、ウクライナでの戦死者の遺影を掲げる人たちが出ることで損失が強調されることや、侵攻そのものへの抗議につながることを政権が警戒しているとの見方も出ています。
こうした動きはいずれも、政権が侵攻のさらなる長期化をにらんだものといえそうです。