北朝鮮のミサイル発射のタイミングについて専門家の見解はー
慶応義塾大学 礒﨑敦仁教授「北朝鮮は、何らかの兵器の実験を行う時に必ずしも日米間の外交日程に結びつけてやっているとは限らない」
北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学・礒﨑敦仁教授は北朝鮮の『軍事偵察衛星』発射のタイミングについてー

慶応義塾大学 礒﨑敦仁教授「具体的には昨年12月中旬の時点で2023年の4月中に「軍事偵察衛星の発射の最終準備を終える」という風に言っていた。ですから“発射をする・打ち上げる”とは言っていないわけで、最終準備を4月に終えるという風になっていた。金正恩氏自身は「最短の期間で打ち上げをやれ」と命じていますので、金正恩総書記の言葉の方が重いですから、北朝鮮では。「短い期間、早めに打ち上げる」と言っているだけでそれが4月になるか5月になるか、その先なのかというのは分からない」
一方、これまでの北朝鮮の『衛星』打ち上げとの変化から政府の対応についてこう指摘します。
慶応義塾大学 礒﨑敦仁教授「2016、2017年にICBM大陸間弾道ミサイルというものを堂々と兵器開発の一環として発射するようになっているので、「ICBM発射実験の代わりに人工衛星等を発射するのではないか」という議論は過去の話。今は北朝鮮は堂々とICBM発射実験に踏み切れる状況にあるわけですから、今回は区別して「軍事偵察衛星」であると。それに対して日本政府がPAC-3の展開をするというのは、今の防衛体制にのっとったものではあるのでしょうけど、もしかするとこれは慎重すぎるのではないかと。つまり北朝鮮がやろうとしていることに対してなんでも備えていくという姿勢の一環にも見える」

また、政府がこうした対応を取る背景には、安全保障を考えるうえで陥る、ジレンマが存在すると分析しています。
慶応義塾大学 礒﨑敦仁教授「軍事大国である米韓の脅威を捉えるために国防力の強化を図っている。そのために北朝鮮は軍事力強化を図り、ミサイル発射を続けてきたわけですが、それが結局、米韓を警戒させてしまい、米韓さらには日本が加わり日米間が安全保障上の関係を深める。それがさらに北朝鮮の不安を呼ぶというジレンマを生んでしまい、軍拡を生んでしまっている」