旧山陽道の宿場町の面影が残る岡山県矢掛町。その風情ある街並みで新たな試みが始まりました。何と「クリームソーダによる街おこし」です。

ソーダ水の中にアイスクリームとサクランボが浮かぶ、昔ながらのクリームソーダです。矢掛町で始まったのは、「クリームソーダIN矢掛」です。
歴史的建造物が残る街並みで、若い世代にいま「レトロでかわいい」「映える」と人気が再燃している喫茶店の定番メニューを楽しんでもらおうというものです。

(矢掛町観光交流推進機構 佐藤武宏事務局長)
「矢掛町は宿場町ですので、昔からいいものでですね、おもてなしをしていたという文化がありますので、今回はこのクリームソーダで多くのお客様をおもてなししたいと思います」
参加する飲食店14店舗が、定番のものだけでなく、かつてないオリジナルのクリームソーダを提供しています。

こちらのカフェで飲むことができるのは、柚を使った地元の銘菓「ゆべし」をトッピングした「やかげ柚子クリームソーダ」です。柚のシャーベットを浮かべ、せんべいも添えられるなど、さまざまな食感を楽しめます。
(大森保彦記者 リポート)
「やかげ柚子クリームソーダをいただきます。柚子の味と香りがこれからの季節にぴったりです」
柚べしは、天璋院篤姫が矢掛本陣を訪れた際に食べたという記録も残る、矢掛が誇る和菓子です。

(t2Lab. 筒井隆光オーナー)
「ゆべしは、矢掛を代表する和菓子の一つになりますので、それを少しでも多くの方に召し上がっていただきたいなという思いがあって入れました」
そして、イタリア料理店が提供するクリームソーダはというと…その名も「大人の青」。何とアルコールが入っています。

(侍イタリアン 宮崎雄介さん)
「やっぱ、スパークリングワインをサーバーから注げるという強みがありましたので、それを使ったちょっと大人を感じるクリームソーダ、というのをイメージしました」
スパークリングワインの上に、バニラジェラートとレモンシャーベットを浮かべました。

(侍イタリアン 宮崎雄介さん)
「今回のクリームソーダにかかわらず、いろいろと町として他の店舗のみなさんと協力してやっていけると、町ももっとにぎやかに盛り上がっていくのかなと」

歴史的町並みを散策しながら、懐かしくも新しい味を堪能できる「クリームソーダIN矢掛」は、5月末まで行われています。
【解説】
そもそもこの矢掛の町は、江戸時代には「矢掛本陣」として数百人からなる大名行列に町全体で宿を提供していた歴史のある宿場町です。

そして時は現代、このエリアにある古民家を宿泊施設に改装。2018年に矢掛町はイタリアの団体から、町全体を1つのホテルととらえる「アルベルゴ・ディフーゾ・タウン」に、国内で初めて認定されるなど、いまや世界も注目する町となりました。
そこに今回新たな彩りを加えてくれるのが、クリームソーダという訳です。そのクリームソーダも実に個性豊か。

・農園の新鮮なイチゴと矢掛町産の黒米を使用した「黒米甘酒」をブレンドしたアイスが乗っていたり
・矢掛町産のパッションフルーツを使っていたり
・カフェでは、エスプレッソコーヒーとアメリカンダークチェリーシロップの香るものがあったり
・カカオティーを使用したものだったり、と
従来のイメージを覆す楽しいクリームソーダで。町全体が溢れています。町歩きがより一層楽しくなりそうな、矢掛町です。