仲宗根さん「お客さんが入ってきて、キレイだねと言うことですね。それが一番嬉しい」
宮城さん「大事なのはスピードじゃないですか。こっちが遅れたら、次の作業も遅れるので」

恩納村に開業しておよそ1年半になる「コーラルパレス恩納」。働いているメンバーを見てみると、他のホテルとは、少し形態が違います。従業員8人、ほとんどが60歳以上です。

ホテルの代表を務める比嘉智志さん(63)。ホテル経営の前は、県内の銀行を48歳で早期退職、銀行で培った経験やノウハウを生かし、工場の経営に携わっていました。ホテル経営を始めたきっかけは、当時雇っていた社員から寄せられた相談でした。

コーラルパレス恩納 比嘉智志代表「きっかけが元々うちの社員が65歳になった時に『私辞めないといけないですか?』と相談があった時に、あなたが働ける受け皿を作るよというのが大きいスタートですから、本人たちが希望すればするだけ、ずっと働いて欲しいというのが、この会社の目的になります。実際うちのメンバー見たら分かると思うけど、精神的にも肉体的にも若いですよ!」

働きたいと願う60歳以上のメンバー、高齢者雇用の場を確保できないか、工場には欠かせない“清掃業務”。清掃に対する意識の高さを日々見てきた比嘉さんが、第2のステージに選んだのが『ホテル清掃』でした。

工場で雇っていた高齢者を中心に声をかけ、全員がハウスクリーニングなどの研修を重ね、おととし11月にホテルを開業。チェックインやチェックアウトなどを完全にシステムで賄い、従業員は清掃に特化させ、完全週休二日制や時短勤務、比較的高い賃金など、長く働けるような体制づくりに努めています。

従業員の東泊さん(64)「楽しいの半分、ちょっとキツイの半分てところです」

もうすぐ65歳になるメンバーの1人、東泊勇雄さん(とうはく いさお)。60歳以降も工場倉庫で働いていましたが、毎年待遇が変わり継続の保証がない状態でした。今は、体力が維持できる限り、ホテルでの清掃を続けたいと考えています。

従業員の東泊さん(64)「もうすぐ65歳なのでそれで働ける場所があれば、また全く違う職場にいくのは一からじゃないですか。ここはみんな気心知れたメンバーなので、非常にやりやすい」

東泊さんは、ぎっしり予約で埋まっているホワイトボードを見るのが喜びだといいます。

東泊さん(64)「GWなのでいっぱい入っているのが安心ですね。こなさないといけないというのもあるけど、きっちり、きれいにというのが目標です」

一たび清掃に入ると、丁寧に手際よく、連携しながら作業を行っています。

ホテルのレビューも“清潔さ”が最大値。ほとんどの口コミが10点中9点以上と、満足度が高いのも、やり甲斐となっていて、「働きがいも経済成長も」というSDGSの目標にもつながっています。

京都からの宿泊客「広さも良い、快適ですよね!きれいですしと思いました」

体力では若い人に劣りますが、経験では勝ります。空調の整備なども自身で担うほか、趣味のDIYを生かし、部屋にウッドデッキを作ったメンバーも。

宮城さん「YouTube見ながらどういう形が良いかなってことで。お客が海も夕日も見ながら、ビール飲んでリラックス出来れば良いと思います。社長がこういう場を与えてくれたので、できる限り、皆と協力してやっていこうかなと思います」

東泊さん「シミですね。たぶん化粧品のはねだと思います。油系なので油落とすもので落としてみます!OKです」

60歳を超え、再スタートを切った東泊さんに、家族の反応は?

東泊さんの妻・久江さん「家から行ってらっしゃいとか、お帰りなさいとか言うことが、とても幸せに感じるので、元気に仕事やってきて、しっかり頑張ってきているんだな、素晴らしいなという気持ちですね」

妻の久江さんは、ストレスの多かった前職と比べ、夫が生き生きしているように感じるといいます。

東泊さん「忙しければ忙しいなりにやりがい出てくるし、その分こなせばよっしゃー!明日も頑張るかってなると思う」

比嘉代表「定年とか、契約期限とか、年齢でいつまでしか働けないという不安、不安の中で働くことを払拭したい。元気に働いてほしいが1番の希望です」。

人生100年時代をどう生きるか?彼らの第2のステージへの挑戦が続きます。