WBCトロフィーか?試合か?

バンテリンドーム (C)CBCテレビ

この3連戦では、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の優勝トロフィーが展示公開された。

ドーム北側の特設会場、しかし球場に着いた午後1時15分には「現在の待ち時間150分」という案内があった。

これから2時間半を待つと、当然プレーボールには間に合わない。

残念ながらあきらめたのだが、試合開始を迎えた瞬間、チケット完売のはずのスタンドには空席が目立った。

まだ多くの人が優勝トロフィーに並んでいるのである。

過去の栄冠を目に焼きつけるか、目の前の試合の応援か、悩ましい選択を突きつけられることになった。

優勝トロフィーの展示は午後3時まで、せめて試合終了後2時間ほど時間を延長するなど、そんな配慮がほしかった。

やはりゲームの最初から、満員のスタンドで、ドラゴンズに声援を送ってもらうべきではないだろうか。

ゲームが終わり、沢山の金色ユニホームが肩を落として家路につく中、展示会場はすでに閉鎖されていた。

投手が好投すると打線が点を取れない。打線が点を取ると、この日のように投手が失点を重ねる。

立浪ドラゴンズの歯車が、なかなかかみ合わない。

チームに勢いをつけるホームランの数も、ここまでわずかに4本である。

本塁打数がひとケタなのは、12球団でドラゴンズだけである。

この春『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』を上梓したが、早く『歓喜』を書きたい。『屈辱パート2』だけは勘弁してもらいたい。立浪竜の5月反攻を信じるしかない。                                                  【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。