国民支持層の多くが維新・林氏に投票
4月23日の投票日当日。報道各社は午後10時台に、相次いで林氏に当選確実の一報を打った。結局、門氏との差はおよそ6000票。保守王国と言われた和歌山1区の議席を維新が初めて獲得した瞬間だった。
興味深いデータも明らかになった。MBSなどの出口調査では、国民民主の支持層が門氏より、林氏に多く投票したとみられることだ。岸本周平知事は元国民民主党の国会議員で、今回は門氏の応援に回っていたのだが、調査はその姿勢とは正反対の結果を示していた。ある有権者はMBSの取材に「過去4回は岸本さんに入れてきたが、立場が変わって門さんを応援すると言われてもなかなか受け入れられない。空気を変える意味でも、維新に投票した」と積極的ではないまでも、維新支持の理由を話した。
敗北した自民党の世耕参院幹事長は25日の会見で、門氏を推した責任について問われると「議論の過程において、誰かが誰かを推したというようなことは全くありません」とあくまで県連全体の責任だと強調した。「議席奪還に努めていくことで責任を果たしていきたい」と述べ、県連としての体制を立て直していくとの決意を示した。
一方、維新幹部は「一度いただいた議席は絶対に死守する。国会と並行して林氏に地元活動にも力を入れるよう指示した」と述べ、いつ解散があっても対応できるよう態勢を組むと語気を強めた。
衆院の早期解散も取りざたされる中、保守王国・和歌山を舞台にした“熾烈な争い”が新たに始まることになる。
毎日放送報道情報局 解説委員 三澤 肇