成功していれば民間企業としては初の快挙。日本の宇宙ベンチャー「アイスペース」の宇宙船による月面着陸は最終段階で失敗しました。「スキーのジャンプの台を自転車で駆け下り一番端で止まる」ほど難しいという挑戦のメカニズム、そして失敗の原因とされる高度の誤認とは。さらに、世界で競争が激化する月面開発ビジネス、月に1000人が住む村を建設するというプロジェクトの未来とは。「手作り解説」でお伝えします。
宇宙ベンチャーの挑戦

民間企業「ispace」社が打ち上げた月面着陸船「ランダー」。
幅2.6メートル、高さ2.3メートル、重さ340キロで、アポロ11号の40分の1ほどの重さです。2022年12月アメリカ・フロリダ州から打ち上げられました。ランダーはUAE=アラブ首長国連邦の月面探査車やJAXAやタカラトミーなどが開発した小型探査ロボットなど、7つの積み荷を搭載していました。
人類の月面着陸への軌跡

これまで月面着陸を成功させているのは、旧ソ連、初めて人間を着陸させたアメリカ、そして月の裏側に初めて着陸させた中国、の3か国です。ちなみに、人間の着陸はアメリカ以外は成し遂げていません。
その後、2019年にイスラエルとインドが着陸に挑みましたが失敗。2022年、JAXAの超小型探査機「OMOTENASHI」も着陸を断念していて、今回ispaceが成功していれば、世界で4か国目、民間では初めての偉業となっていました。
失敗の原因は高度の誤認?
では、どうしてランダーの着陸は失敗したのでしょうか。

月の上空100キロを横向きに飛んでいたランダーは燃料を逆噴射しながら速度を落とし、機体を垂直にして着陸態勢に入りました。その後、徐々に降下していきましたが、「高度0」になっても降下が続いていたことから、実際には月面の上空を着陸地点と、高度を誤って認識していた可能性があり、そのまま下りていくうちに燃料が切れ、月面に墜落したとみられます。着陸チャレンジの前、技術責任者はその難しさについて「スキーのジャンプ台を自転車で下りていって、ブレーキをかけ、端でピタッと止まるようなもの」と例えていました。














