記者が試してみると…
苦労を重ねた末にできたこの手術トレーニング用ポイ。記者も実際に針とピンセットを使って試してみます。一見、簡単そうに見えたのですが…すぐに紙が破れてしまいました。
(学生)
「手が震えて、実際の血管だと思ったら全然縫えないです」
(名古屋市立大学 心臓血管外科 山田敏之外科医)
「このもろさ、薄さが内膜(血管)と同じではないんですが、この紙が破れないように縫う能力、技術は、血管をきれいに縫うということに通じる要素がたくさんある」
他にも血管を模した練習素材などはありますが、1つ何千円する高価なものも多いため、1枚30円程度のポイはかなりリーズナブルです。
さらに、縫われたポイの写真から、正確に針を通せているかや糸のたわみなどを瞬時に採点するアプリもあるということです。
外科手術トレーニング用ポイが開発された背景には、いま医療業界で起きている深刻な外科医不足の問題があるといいます。
(名古屋市立大学 心臓血管外科 山田敏之外科医)
「どうなったら手術デビューできるのかとか、どうしたら次のステップにいけるのかというのがなかなかわからなくて、ゴールのわかりにくさが外科医のなり手不足の原因の1つに。ゴールが設定しやすいトレーニング、これができるようになると、外科医を目指しやすくなるということにもなります」
金魚すくいのポイで高度な技術を習得した医師らが手術室に立つ日もそう遠くないかもしれません。