NHKと民放のドキュメンタリー制作者が共同で本を執筆した。放送局の系列を越えての共著は珍しい。福岡市の西南学院大学で開かれた出版記念イベントで、ゲストに招かれたジャーナリスト・金平茂紀さんたちが語ったことを、執筆者の一人、RKB毎日放送の神戸金史解説委員がRKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』で報告した。
◆KBCラジオと相互出演

先週4月18日のこの番組ではKBC(九州朝日放送)の臼井賢一郎さんにスタジオに来ていただきました。共著で出した本「ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る」(石風社)について話したんですが、魅力的な人で楽しかったですね。翌19日は私がKBCラジオに出演したんですが「昨日はRKBのリスナーに、KBC臼井ファンがいっぱいできてしまいました」と言ったら、みんな爆笑していました。もう一人の本の著者、NHKの吉崎健ディレクターにもKBCに来ていただいて、3人で話をしました。
『ドキュメンタリーの現在 九州で足もとを掘る』(石風社刊、税別2,000円)
福岡でNHKと民放に勤める3人が、系列の垣根を越えて、ローカルにこだわりドキュメンタリーのあり方を考える。
◆金平さんが挙げたキーワード「地域」「公共性」「作品性」

この週末には西南学院大学で出版記念のイベントを開催しました。4月22日は、3人が制作したドキュメンタリーをみんなで見るという会でした。
4月22日(土) 13時~18時 著者3人の番組上映会(一般公開)
『良心の実弾 医師・中村哲が遺したもの』(KBC臼井賢一郎)
『イントレランスの時代』(RKB神戸金史)
『花を奉る 石牟礼道子の世界』(NHK吉崎健)
翌23日は、TBSテレビ『報道特集』で長年キャスターを務めた金平茂紀さんに記念講演をしてもらいました。また、RKBの伝説的なドキュメンタリスト・木村栄文さんの作品『あいラブ優ちゃん』(1976年)を上映しました。栄文さんが、障害のあるわが子を撮ったドキュメンタリーです。最後に、金平さんと私たち3人でドキュメンタリーについてトークをするというイベントでした。
金平さんは講演で「ドキュメンタリーは、100あれば100通りあるんだ」と語り、3つのキーワードを挙げました。一つは「地域」。「全て、現場は地域にある。どこでも、目の前にある地域に着目して取り上げていくのがとても大事だ」と。
二つ目は「公共性」。ベースには報道という面があって、「みんなに知ってもらうことが必要なんだ」という公共性が非常に重要なのだと言っていました。最後に「作品論」。「いろいろな作り方があって『こんな作り方はどうだろう』とチャレンジすることが可能なのがドキュメンタリーなんだ」と話していて、みんな「なるほど」と思って聴いていました。














