「アメリカなしでもやっていけた」

中国・大連に『朝鮮万博』という会社がある。パク・ジンヒョクもかつてここに在籍していた。業務はマツタケの販売からプログラミングの受託開発まで色々だが、FBIはこの会社を北朝鮮ハッカーの隠れ蓑だと見ている。
サイバーセキュリティ―に詳しい朝日新聞の須藤龍也編集委員によれば、北朝鮮のIPアドレスは1000ちょっとしかなく、そこからだけサイバー攻撃をするならその1000ちょっとをブロックしてしまえば済む。しかし、中国には何千万ものIPアドレスがある。だから中国に拠点を置くのは理にかなっているという。そして、中国はこうした北朝鮮の活動を黙認している。
実はこのところ中国の北朝鮮への態度に変化が見られる。
国連安保理の専門家パネルとして北朝鮮の非合法活動の捜査を担当していた古川勝久氏は「中国はタガが外れ、あらゆるレベルで北朝鮮を守っている」と語る。また北朝鮮も明らかにアメリカとの対話を見切り、中国、ロシアと生きていくと路線を変更したという。

元国連安保理 専門家パネル委員 古川勝久氏
「北朝鮮としては、コロナ禍を自分たちの力で乗り切ったという自信に満ち溢れている。冷戦終結以降北朝鮮には大きな国家戦略が2本あった。ひとつは経済の自由化。もうひとつは対米関係の安定化。ですがコロナ禍を経て“アメリカ無しでもやっていけた”っていう自信がついた」

反米で結ばれた中国、ロシアと生きていくことを決めたように見える北朝鮮。世界の分断は様々な分野に広がり、そしてより深いものになっている。

(BS-TBS 『報道1930』 4月21日放送より)