10代当事者の5割近くが「自殺考えた」との調査も
LGBTQ当事者の若者を対象に、去年実施されたアンケートがある(※)。それによると、過去1年の間に「自殺を考えた」と回答した10代が約48%にのぼるなど、若い世代がより深刻な悩みを抱えている状況が浮き彫りになった。
こうした背景には何があるのか。五十嵐さんは、若い世代で寛容さや受容が広がる一方、親世代での理解が進んでいないのではないかと指摘する。
「30代40代にとっては、いわゆるかつてのステレオタイプとか、ネガティブなイメージがまだ強い。適切な教育を受ける機会がなかったっていうことだと思います」
「どんな性のあり方も尊重されたり、誰もが安心して生きていける社会とは何か。そうしたところへ、社会の準備ができていないという印象を(アンケートから)強く持ちました」
(※NPO法人「ReBit」による2600人余りを対象にした調査)
「すべての人に扉を開きたい」
LGBTQをめぐっては、「理解増進法」の法制化に注目が集まっている。一部の当事者団体からは、G7前に整備するべきとの声も上がる。
五十嵐さんは「法律の中身については様々な議論がある」とした上で、法制化されることで、社会にインパクトを与える可能性はあると期待感を示す。
「制度があると、人の意識も変わるところもあると思うんです。こういう制度、ルールができたんだ、そうか、困っている人や生きるのが難しい人がいるんだな、っていうことを多くの人に知ってもらう(ことができる)」
一方「レガシー」ではあくまで、交流の場作りや、情報拠点としての役割を続けていく。
現在行っているLGBTQに関連する書籍のアーカイブ事業では、今後、同人誌やミニコミ誌といった手作りの本についても収集を目指す。高齢の当事者への聞き取りをアーカイブ化する取り組みなども進行中だ。
五十嵐さんは「全ての方に扉を開いていきたい」として、こうしたアーカイブや情報を、当事者に限らず様々な人に活用してもらいたいと考えている。
「こういう情報を求めている方々は当事者に限らない。あるいは「そうかもしれない人」。私たちはよく、“「LGBTQプラス」や「そうかもしれない人」を対象に”という言い方をしますが、はっきりと自覚していなくても揺れている方とか、迷っている方、そういう方もウェルカムだよ、と」
「本当に、いろんな方をつなぐ場所になっているのでそのプラットフォーム的な機能は、もっともっと発展するだろうなと思うんですね。」
新代表としては「誰もが安心できる場所を、さらに進化させていきたい」と話す五十嵐さん。最後に、当事者への理解を深めるために必要なことはなんでしょうか、と尋ねると。
「接することに慣れていただくと、あまり難しい話じゃないのかなというのはいつも思っています。本当に『身近な隣人』として感じてもらえればいいのかなと。何気ない仲間の一人、喜怒哀楽だって同じように感じるし、悩みだっていろいろあるし、と」














