柏崎刈羽原発で相次いだ“不祥事”
2021年、柏崎刈羽原発では社員が他人のIDカードを不正に使って原発の中枢へ入ったり、侵入を検知する設備が故障したまま十分な代替措置を取っていなかったりといったテロ対策上の重大な不備が発覚しました。

事態を重く見た原子力規制委員会は核燃料の移動を禁止する、事実上の“運転禁止命令”を出して追加検査を開始。東電が目指す再稼働には、この命令の解除が不可欠で、原子力規制委はおよそ2年、のべ3300時間をかけて検査を続けてきましたが…

【原子力規制委員会 山中伸介委員長】
「劇的に、きょう上がってきた様々な課題が解決されるというのはなかなか難しいところがあるかなと…命令解除するということが、かなり難しいだろうなという意味」
先月、山中伸介委員長が示したのは、「解除はかなり厳しい」という見立てでした。規制委が指摘したのは、東電がいまだ改善しきれていない「6つの課題」です。

侵入を検知するセンサーについて、侵入者がいないのに雪や風などの影響で引き起こされる「不要警報」が目標の値まで減っていないといった、設備=ハード面での課題。
またソフト面の課題では、核物質防護に関するマニュアルを作る際、ルール通りではない手順を踏んでいた、改善に対する意識や行動を一過性にしない仕組みが不十分といった例が挙げられました。

【原子力規制委員会 山中伸介委員長】
「やはりハード面だけでは解決できないようなソフトとハードがリンクしたようなところが、どうしても最後残ってきたのかなと」

これに対し、稲垣所長は特に「人と人との細かな意思疎通」が発電所にとっての生命線と考え、強化を図っているということです。
【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】
「コミュニケーションを通じて信頼関係がないと、この発電所は何が起きてもおかしくないと思っている。信頼の良いサイクルを徹底的に回していこうと」