8年に及ぶ不妊治療を経験した40歳の女性。2回の流産をきっかけに、夫婦で不妊の検査をしましたが、原因は見つからなかったそうです。クリニックを5軒転々とし、あらゆる治療を試したそうです。

「子供を授かって育ててみたいという夢が叶わない日々、なんで自分だけ?みたいな気持ちが膨らんで…。一番負担が大きかったのは精神面と、でもそれと同じくらい金銭面が辛かった。1回病院に行ったら5、6万円とか、治療によっては20万円とか。病院に行って頑張れば力を借りたらすぐに妊娠できるんじゃないかと安易な気持ちで考えていました。」

晩婚化や晩産化が進み、現在、4・4組に1組の夫婦が不妊の検査や治療を経験しています。日本の体外受精の実施件数は年間およそ45万件にのぼり、世界で最も多い状況です。(2018年、日本産科婦人科学会)

去年、国内で生まれた子供の数は、1899年の統計開始以降、初めて80万人を割り込みました。(出生数は79万9,728人と過去最少を更新・厚生労働省)

少子化が深刻化する中、2019年には体外受精で生まれた子供の数が6万598人と過去最多を更新。今や14人に1人が体外受精で生まれていることになります。
こうした中、国は少子化対策として、去年4月から人工授精や体外受精などを保険適用にしました。これに加え、福岡県では、先月の議会で保険適用外の先進医療費について一部助成することを決めました。

近年、不妊治療の先進医療としてよく使われるようになった『タイムラプス』。受精卵の培養庫の中にカメラがあり10分間隔で自動撮影するしくみです。成長を細かく観察でき、より状態のよい受精卵を選ぶのに役立ちます。

井上善レディースクリニックでは、タイムラプスを3年前から導入しています。先進医療のため全額自己負担で1回につき2万3000円かかりますが、妊娠率をあげるため体外受精を受ける全ての患者に取り入れています。

福岡県が助成するのは、タイムラプスを含む11の先進医療で、国が認めている、
保険診療と併用可能なものが対象です。開始時期などは調整中ですが、1回につき
自己負担額の7割、上限5万円を助成します。妻が40歳未満の場合1子ごとに6回まで、40歳以上43歳未満は1子ごとに3回まで利用できます。
井上院長は「(不妊治療が)保険適用になりかなりのハードルは下がった。今までは若い人で収入的に厳しいと敬遠していた人が増えた。そういう意味では先進医療にも助成が出るとなると裾野は広がるかもしれない。」と話していました。














