山口県阿武町がコロナ給付金を、誤って1世帯に4630万円振り込んだ問題で、町は金の返還を求める訴えを起こしました。町の説明によると、男性はすでにこのお金を別の金融機関へ送金、現在は勤め先を退職し、行方が分からなくなっているそうです。弁護士に聞くと「有罪となっても、お金が戻らない可能性」があるそうです。ではそもそもこの「誤送金」自体を取り消すことはできないのでしょうか?また受け取った住民はどんな罪に問われる可能性があるのでしょうか?弁護士に聞きました。

<本記事のポイント>
・誤送金した場合、すぐ送金取消できるのか?
・誤送金されたお金を自分のものに。罪に問われる?
・誤って送金してしまった時…どうすれば?

■誤送金した場合、すぐ送金取消できるのか?


山内あゆキャスター:
阿部町職員は誤送金をした当日、誤送金のお詫びの上、男性に対して組戻し(※金融機関を通じて行う返金依頼の手続き)を要求しました。男性は返還の意思があったため、組戻しの同意を得た職員は男性と返金手続きを行うために銀行に向かうも、銀行に入る直前で、「やはり今日は手続きはしない。後日公文書を郵送してくれ」と、一旦は同意を得た組戻しを、男性は拒否したということになります。


萩谷麻衣子弁護士によると、男性が銀行に入る前に拒否したことにより、この時点でお金が取り戻せなくなったというのです。


萩谷麻衣子 弁護士:
誤送金した場合、相手の口座に着金する前であれば取り消しはできるんですけども、一度相手の口座に入ってしまった場合は、最高裁判所の判決で、もうその入った時点で相手の預金であるということが認定されてるんですね。つまり、民事上は相手の預金なので、その人の承諾がなければ、勝手に銀行が間違ってたんですねって言って返金することができない。

井上貴博キャスター:
ミスであった場合、銀行が勝手に返金することはできないのですか?

萩谷麻衣子 弁護士:
ミスであってもです。送金者と受取人のトラブルや関係性など、銀行には分からないため、そういったトラブルに巻き込まれないようにするということからです。

■誤送金されたお金を返さない!罪に問われる?


誤送金を受けた男性は、4630万円を返還する意思がなく、また現在は勤め先を辞め、行方不明で連絡が取れないといいます。こうした状況を受け、阿武町は刑事告訴も検討中。萩谷麻衣子弁護士によると、もし刑事告訴をされた場合、男性は窃盗罪、もしくは電子計算機私用詐欺罪に問われる可能性があるといいます。

<罪に問われるケース>

▼ATMでお金を引き出した場合
 ・窃盗罪に問われる可能性
 ・10年以下の懲役または50万円以下の罰金。

▼ATMで送金した場合
・電子計算機使用詐欺罪に問われる可能性
・10年以下の懲役だといいます

しかし、男性が有罪になっても“お金が戻らない”可能性も

萩谷麻衣子 弁護士:
本来、最高裁判所では一度着金したお金は自分の物であると認められているため、誤送金されたお金を引き出すのは罪じゃないでしょ?っていう考え方もできる一方で、他人のお金だと分かっていながら引き出したり、他に送金したりした場合は、詐欺罪だったり窃盗罪になるということも、最高裁判所では認めているので、罪に該当する可能性はあります。ですが、結局この人にお金がなければ回収できない…という結論になりかねないです。

回収するためにできることは?

萩谷麻衣子弁護士:
民事裁判で裁判を起こし、判決をもらって強制執行をする。判決をもらえば、10年間は時効にならない。その間にその人の財産ができたら、財産ができた時点で強制執行するということも考えられます。