果樹農家にヒット!楽に腕を上げられる「アゲレルデ」

「農作業」での動きをサポートしてくれるアシストスーツも登場していました。
こちらは今年3月に発売された商品。ダイヤ工業株式会社のバイスチーフエンジニア、小川和徳さんに伺いました。

ダイヤ工業株式会社バイスチーフエンジニア 小川和徳さん:
「腕を上げるのをラクにする機能のアシストスーツを開発しました。腕の『肘』の部分に向かって、ゴムとベルトが伸びているんですけど、『力こぶ』が出る部分、その辺りを支えるような機能です。」

―なぜ農家に人気?
ダイヤ工業株式会社 小川さん:
「当社はブドウの産地である岡山にあります。ブドウ農家さんは、ブドウを目線より少し高いぐらいの高さで育てるんですけど、ブドウを獲ったり、薬をつけたり、長時間作業するとかなりの負担になります。なんとか解決する方法はないかというところから開発が始まりました」

―ちなみに、名前の由来は?
ダイヤ工業株式会社 小川さん:
「『アゲレルデ』という商品名なのですが、『あげれるで~』というのが岡山弁で、「腕が上げれるよ」という意味です」

腕上げアシストスーツ「ダーウィン アゲレルデ」価格は14300円(税込)

「アゲレルデ」は、目線より上に手を持ち上げて作業することが多いブドウ農家の悩みから生まれた商品です。

左右が繋がった「ひじ当て」のような見た目で、グルっと首の後ろに通して、装着します。
作業するときはベルトを短くすることで腕が自然と持ち上がり、首部分に入っているクッションが支点になるので、上を向く作業でも、首がラクでした。

坂道でも足があがって歩きやすい「アルケルデ」!

さらにダイヤ工業株式会社が開発した商品、階段などで脚をあげる「登り」の動きをサポートする「アルケルデ・プロ」も売れ筋ということです。
(こちらもダジャレで、「歩けるよ」という意味の、「アルケルデ」)
アルケルデは、腰に巻き付ける「コルセット」と「ひざ当て」が、強力なゴムで繋がっていて、脚を一歩、持ち上げたときに、ゴムの縮む力で、太股を引き上げてくれます。

「ダーウィン アルケルデ プロ」価格は35200円(税込)

登山や、長い登り階段や坂、お寺巡りやお城巡り、お花見などにも使えます。
とくに今、「5G」などの携帯電話の基地局を設置する会社では、作業員が山を登ることが多いそうですが、車でも行けない道なき道を歩くのは、やはり骨の折れる作業。
この「アルケルデ」をつけると、上り坂や階段がラクに。また、つまづき防止としても重宝されているということです。

なぜ「アシストスーツ」が必要なのか?

ここ数年「労働用」のアシストスーツの注目は高まっています。なぜでしょうか?開発の理由と共に伺いました。

―どうしてこの分野の開発を始めたのでしょう?
ダイヤ工業株式会社 小川さん:
「当社は元々、医療用のサポーターとかコルセットがメインなのですけど、体の『首』から『足の指先』まで各関節のサポーターがあって、そのノウハウ・技術を使って様々な分野に展開していってます」
―なぜ売れてるのでしょう?社会的な背景などはありますか?
ダイヤ工業株式会社 小川さん:
「『労働用』のアシストスーツを一番最初に作ったのが、竹中工務店さんから相談があったのがきっかけでした。そのときに言われたのが、『若手がなかなか入ってこない』。結局そうなると残るのは高齢の人ばかりなので、何とかしたいということで一緒にアシストスーツを作りました」

「竹中工務店」や「清水建設」とアシストスーツを開発したり、さらに先日は「NTT」とも、電柱を立てるときの「穴掘り作業」に使えるスーツを共同開発したりと、建築、農業、介護などの人手不足と言われる現場での需要が伸びているようです。
冒頭のワークマンの「アシストパワースーツ」も、働く人の高齢化を解決するために結成された企業横断のプロジェクト「快適ワーク研究所」が生み出した製品です。
どこも人手不足と言われていますが、こうしたアシストスーツが求められる背景には、少しでも長く働いてもらい、「労働寿命」を延ばしたいという企業の思惑も見えてきます。

(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」取材:田中ひとみ)