夫を殺害された妻に、被告は…
中村さんの妻:「よく会ってくれましたね。聞きたいことがいっぱいあるんですけど答えられる範囲で答えてくれるかな?」
島津被告:「はい」
中村さんの妻:「どうしてこんなことをしたの?」
島津被告:「警察官と戦ってみたかった」
中村さんの妻:「なぜ奥田交番だったの?」
島津被告:「携帯で警察署を調べていたらたまたま目に入ったのが奥田交番だった」

中村さんの妻:「何で警察官を?」
島津被告:「拳銃を奪いたかった。拳銃を持っているのは警察か自衛隊かやくざ。自衛隊は無理だし。ヤクザは全然知らないし。だとしたら警察官の方が奪いやすい」
中村さんの妻:「拳銃を奪ってどうするつもりだったの?」
島津被告:「同じことを繰り返して、いくところまでいくつもりだった。僕の唯一のミスは警備員のご主人を警察官と見間違えて撃ってしまったこと。奥さんには申し訳ないけども悪いことをしたとは思えない。こんな僕でごめんなさいね」

中村さんの妻:「被害者に対して悪いと思わないのはわかったけど、自分の家族に対してはどう思っているの?」
島津被告:「全く何も思ってない。思うくらいならこんなことやりませんよ」
中村さんの妻:「小さいころお父さんお母さんに育ててもらって楽しかったりうれしかったりした思い出はあるでしょう?」
島津被告:「今まで漠然とただ漠然と生きてきただけです」
島津被告との面会を終えた中村さんの妻は。
中村さんの妻:「与えられた時間いっぱいいるつもりだったんですけど、やっぱりさすがにだんだん辛くなってきて、やはりこれ以上いたら声を荒げたりしちゃうかなと思ったもんで…。かわいそうって言うよりは、どうしてそういう風になってしまったんだろうって、家族のつながりが希薄。まったく親に対しても情っていうものがまったく感じられないですからね。やっぱり私たちでもそれこそ事件当時、主人と同じ思いをさせてやりたいとそういう思いしかない時期があったんですよ。でもその時ブレーキになったのがそれこそ自分の周りの人にすごい迷惑をかけると。犯人と一緒じゃないかって。やっぱりそれがブレーキになるんですよね。でも彼にはそれがなかったと。自分しかない。そういうのは感じましたよね」
終始、無表情だった島津被告が中村さんに笑みを浮かべた瞬間があったといいます。
中村さんの妻:「きょうはこれでもう帰るねって、帰りがけに公判に入ると体力的にきついから何かリハビリしてるのって聞いたんですよ。そしたらこんな体ですから、「今からしても」って答えたんで。私がじゃあ動く上半身だけでも鍛えればって言ったんですよ。そしたら、ニコって笑って上半身ですかって。ニコって笑ったんですよ。その時の顔が本当に普通の人ですよね。あのニコっと笑った顔はいまだに忘れられませんね」
