本格始動した植田新総裁の3つの課題

小川彩佳キャスター:
新総裁の会見をどうご覧になりました?

星浩コメンテーター:
直前に岸田総理とも会ってますので、金融政策を急に変えるっていうことはしないというメッセージですが、一方で、長期的にじわじわと変更していきますよという意思は感じられましたね。

山本恵里伽キャスター:
植田新総裁の課題は3つあります。1つ目は「物価安定」、2つ目は「異次元緩和の副作用」、3つ目は「出口戦略」とあります。

1つ目の物価について見ていきます。2017~2022年の消費者物価指数を見てみると、2022年度は3.0%と急激に上がっているんですが、なぜ金融緩和を続けるんでしょうか。

星コメンテーター:
アメリカのように8%とかの金利の上がり方じゃなくて、日銀は来年には1.6~1.8%ぐらいに収まるとみてますので、ここは金融の金利を上げる局面ではないと判断してると思います。なかなか金利を上げるという事情も生まれないんですよね。

山本キャスター:
そして、2つ目の課題「異次元緩和の副作用」をみていきます。

植田新総裁は「思い切ったことをやったことに伴う副作用についても、配慮しながら様々な政策措置を取っていきたい」と話しています。

植田新総裁は、副作用について副作用があるというふうに明言をしたわけです。その副作用の一つが国債の大量保有。日本の国債残高は1051兆円を超えているんですが、その半分の52%超を日銀が保有するという状況になっているんです。

小川キャスター:
会見で副作用があると認めたということをどう受け止めましたか?

星コメンテーター:
国債の半分以上を日銀が買ってること自体も異常なことで。仮にここで金利を上げちゃうと、国債も暴落する、利払いも増えるということで、財政を圧迫することになります。そう簡単にはこの副作用を脱却はできないんですけど、長い目で見ると、じわじわと変えていこうということですよね。

山本キャスター:
そして、3つ目の課題「出口戦略」について。上田新総裁は明確には答えませんでした。

星コメンテーター:
もう1つ、黒田さんの時代に株を大量に買ってるんですね。50兆円とも言われるんですけども、これもかなり異次元の対応をしたわけです。この問題にもどこかで決着をつけなくちゃいけないんですが、なかなか先が見えないですね。
急激に金融政策を変えると、住宅ローンが上がったり、景気が減速したり、変えることはできないんですけど、じわじわとやろうとなると、今度ものすごく時間がかかって、中には100年かかるということもあって、
非常に難しい選択を迫られるんですが、はっきりしてるのは黒田時代、アベノミクスで非常に重い荷物を植田新総裁が背負ってしまったということだけは、はっきりしてきたということですね。