伝え続けた「非戦の思い」
以降、この「非戦の思い」を坂本さんは、音楽や言葉で積極的に発信するようになります…。
亡くなった音楽家・坂本龍一さん。坂本さんは音楽を通して、「非戦」を語りかけます。
そして常にどうすれば、より人の心に届くかを問い続けました。
坂本龍一さん(2004年)
「例えば歌の中によく出てくる『愛』って言葉ありますけど、僕たちは『愛』って聞いただけで嘘くさく思ってしまう。それと同じように『平和』『反戦』とか言われただけで拒否反応が起きてしまう人がいるのも、よく理解できるんです。“届く言葉”を練っていかないと届かないと思う」

「届く言葉」を摸索しつつ、病の体をおしてデモや集会に参加。東日本大震災による原発事故後も、自ら呼びかけたイベントで…
坂本龍一さん(2012年)
「音楽を楽しんでいただいて、原発問題を自分で、一人一人が考えてもらう『考える種』を持って帰ってもらいたい」
「非戦の思い」はウクライナにも
そして、坂本さんの思いはウクライナにも…
破壊された学校の前で奏でられるバイオリンの音色…。2022年、キーウに住むイリア・ボンダレンコさんと坂本さんが一緒に作った楽曲です。
イリア・ボンダレンコさん(3月3日)
「僕たちの国では、戦争が起きているが、坂本さんは、それが作曲を止める理由になってはいけないと示したえくれた偉大な人です」

音楽とともに、「非戦」の思いを世界に発信し続けた音楽家・坂本龍一さん…
「戦争が起きてほしくない。戦争は、自国、敵国の差なく、ただ若い兵士と無辜の民を傷つけ殺す。なぜ戦争がなくならないのか。なぜ戦争を起こそうとする人間がいるのか。戦争で利益を得ることに倫理的に耐えられる人間がいるのか。今も世界のあちらこちらで子供の上に爆弾が落とされている。なぜ私たちは止められないのか―」
(サンデーモーニング2023年4月9日放送より)