遅くまで飲食を楽しむ人も多い金曜日ですが、コロナ禍にあってこの3年は店への客足は遠のきがちでした。しかしここにきて「マスク着用の自由化」、そして来月の感染症法上の5類移行に伴い、徐々に雰囲気も変わりつつあります。
金曜日の夜に取材に出ると、かつての賑わいを取り戻しつつある街の姿がありました。

(瀬戸大輝記者リポート)
「JR岡山駅前の繁華街です。最後にまん延防止等重点措置が出されたおよそ1年前は閑散としていましたが、今は多くの人で賑わっています」
3月13日からマスクの着用が個人の判断となり、屋外ではマスクを外して歩く人も増えています。「店に飲みに行くことに抵抗がある」という人も多かったこれまでですが、いま街の人はどう感じているのでしょうか。

(街の人)
「やっとですね。年度終わりだったので(取材は3月31日)職場の人たちと最後打ち上げで楽しんで終わろうかなと」
「ようやく緩和されて、みんなが飲める場がやっとできたのがすごく嬉しい」
送別会の時期ということもあり、繁華街では大勢の人が飲食を楽しむ様子が見られました。

「乾杯~♪」「うまいっす」
(客)
「ひとりでもよく飲むんですけど、やっぱり会社のメンバーで飲む酒がうまいですね。コロナ前は当たり前にやっていましたけど、『楽しいな』って感じますし、価値が上がっている気がします」

今では多くの人で賑わっているこの店も、かつては国からの要請もあり、酒類の提供を停止するなど通常の営業が難しくなりました。こうした中、一時ランチ営業もするなど経営の工夫を重ね、しのいできました。
「お待たせしました!生ビールです」

(岡山立ち飲み酒場 STANDMARIO 矢内拓己さん)
「それまで働いてくれていたスタッフの雇用の維持は、いちばん難しかった。でも、みんな同じ条件なので」

徐々に国からの要請も緩和され、さらに今年に入り感染者数が減ったことで、活気が戻ってきたといいます。
(岡山立ち飲み酒場 STANDMARIO 矢内拓己さん)
「シンプルに良かったなと思うんですけど、『なんかありましたっけ』ぐらいでポジティブに楽しんでやっていきたい」

一方で、コロナで売り上げが下がった事業者に、実質無利子・無担保で融資する仕組み=「ゼロゼロ融資」の返済が、今年に入って本格化しています。客足は戻っても、経営の立て直しには至っていない店も少なくありません。

(岡山県社交料飲生活衛生同業組合 今田俊則 理事長)
「持続化給付金などを貯めていたものを切り崩して、やっと支払いしているような。売り上げが戻っていないのに返済が増えた」

来月には、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行します。コロナ禍が始まって約3年。賑わいが戻ったように見える街ですが、まだ苦悩は続いています。

【解説】
実質無利子・無担保で融資をする「ゼロゼロ融資」ですが、岡山県信用保証協会の調べでは、おととし5月時点で岡山県内の融資件数は約2万2500件、融資総額は約3330億円にのぼるということです。