3月、福島県湯川村に初めて誕生した村営塾。湯川村は県内で最も小さい村で、学習塾や予備校はありません。地方の教育環境をどう充実させるか、小さな自治体の教育について考えます。
真剣なまなざしで、数学の問題に取り組む子どもたち。ここは、学校ではありません。湯川村が運営する学習塾です。春休み期間中だった3月、村内の子どもたちを対象に村が初めて開きました。
2日間にわたって行われたこの村営塾には、中学2年生と、この春、中学進学を迎える小学6年生のおよそ20人が参加しました。

参加した中学生「嫌いなところも、塾の授業をやる前よりもしっかり理解できたと思う。受験があるから、塾はあったほうがいい」
湯川村で今回初めて企画された村営塾。自治体自らが学習塾を開く背景には、村の置かれた教育環境がありました。
湯川村教育委員会・佐原健一教育長「村営塾の開催を望む保護者の声が出てきまして」
人口およそ3000人。面積は4キロ四方と県内で最も小さい湯川村。242人の小中学生がいますが、村には、民間の学習塾はありません。

村内の子どもたちが塾に通う場合は、近隣の会津若松市や喜多方市まで足を運ばなければ、ならないのが現状です。
村営塾に参加した中学生「普段は塾を週2回利用している。(会津若松市)河東の塾です。親の車で行っています」
村をあげての新たな挑戦には、運営費をどう賄うかという課題もあります。今回は民間の講師を招き、参加費は無料でしたが、今後、定期的に塾を運営するためには、運営費や講師の確保が大きなハードルとなります。
湯川村教育委員会・佐原健一教育長「限られた村の予算なので全て捻出できることではなく、毎日塾を開催することができないのは大きな課題」
それでも・・・
佐原教育長「都会の子どもたちの学力が高くて、地方の子どもたちの学力が低くなるのは教育の公平性に問題がある」

湯川村では今後、予算の関係上、学校の長期休暇に村営塾を開催したいとしています。また、保護者にアンケート調査を行い、開催する期間や参加費など、村営塾のあり方を模索することにしています。