ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に規制されることで生じる「2024年問題」。
さらに配達員を悩ませる再配達の問題についても流通の専門家に聞きます。
宅配料金値上げ 背景にはドライバーの悲鳴が

宅配にも値上げの波が押し寄せています。3辺100センチ以内のダンボールを関東から関西まで運ぶ料金。佐川急便が114円、ヤマト運輸が150円と、2017年以来5年半ぶりの値上げが行われました。
宅配便の取り扱い個数はコロナ禍での伸びもあり、2021年には49.53億個と50億個にせまる勢い。さらに、ひとつの配送に何度も訪問しなければならない「再配達」の問題もあり、拘束時間が伸びてドライバーの労働環境悪化にもつながってしまっています。
流通経済研究所 上席研究員 吉間めぐみ氏:
再配達を無料で行うのは限界が来ている。‟有料化”も考えるべきではないか。
1回で運べるのと、何回も配達してもらうのは、本来コストが違うべきだと思う。
有料化することで、利用者がもっと厳密に時間帯を指定したり、指定した時間帯に在宅しようという意向が働くと思います。今はタダなので「もう1回来てもらおう」となっちゃう。
荷物が3割届かない?流通の「2024年問題」

運送業の労働環境改善に向け、トラックドライバーの時間外労働時間が、2024年4月から年間960時間に規制されます。これに伴い、
▼ドライバーの収入が減ることで、人手不足を招く
▼荷物の総輸送量も減ってしまう
という懸念が。これがいわゆる流通の「2024年問題」です。
野村総合研究所が出した試算では、
「2024年問題を加味すると、2030年には全国の約35%の荷物が運べなくなる」とされています。
再配達削減のカギ「置き配」に不安…5割超え

4月は「再配達削減PR月間」。政府は「置き配」「まとめ買い」などの協力を求めています。項目は以下の通り。
●自分が1回で受け取れる日時・場所を指定しよう
●配送状況の通知アプリを活用しよう
●まとめ買いで配送回数を減らそう
●急ぎ便は状況に応じて使い分けよう
●相手が1回で受け取れる日時・場所を指定しよう
●送り先の住所は正しく記載しよう
●宅配ボックス・置き配を利用しよう
●コンビニ受け取りを活用しよう
●街なかにある宅配ロッカーを活用しよう