「犠牲者を待っている…怖いものですね」地雷撤去にも参加

2001年、坂本さんはアフリカ・モザンビークの地雷撤去に実際に参加しました。プロテクターを装着する坂本さんが向かう先は、地雷原です。地面に立てられた無数の赤いポールの下に地雷が埋まっています。
坂本龍一さん(当時49歳)
「誰かが(地雷を)踏むか取り除くまでは犠牲者を待っている、地の中で…怖いものですね」

一方で現地・モザンビークの子どもたちと音楽を楽しむ姿もありました。
坂本さんは電子音楽を世界に広めた一方で、民族音楽に対しても大変心を砕いていろいろな方と交流をされました。この「地雷ZEROキャンペーン」は坂本さんが声かけをすることで、様々なアーティストがこの曲に参加しました。
▼DREAMS COME TRUE
▼Mr.Children 桜井和寿さん
▼GLAYのTERUさん、TAKUROさん
▼シンディー・ローパーさんなど海外のアーティストも参加
CDの売り上げ64万枚以上、さらに寄付を含めてこのキャンペーンで5億3000万円余りが集まりました。これによってカンボジア、モザンビークなど5か国で約3.3平方キロメートルの地雷撤去が実現しました。(※2020年3月末時点/寄付金も含む)

また今、ウクライナでも戦争があるということで、2022年に「No War」=平和をテーマに「Zero Landmine 2022」という形で刷新した曲も公開していました。
「いろいろな声を上げていこう」きっかけを作った
ホラン千秋キャスター:
坂本龍一さんは芸術、それから社会的メッセージとして、世の中に様々なことを訴え続けましたね。

若新雄純 慶応大学特任准教授:
坂本さんの場合はそういった社会活動、政治的メッセージも物議を醸したと思います。アーティストやアスリートに対して「政治的メッセージを発しないでほしい」という声もあったりしますが、ここまでの世界観や作品を作れる人が、そういったメッセージや思いを持たないはずはないと思うんですよ。
「持ってもいいけど出すな」という声に対して僕が思うことは、こうやってメッセージを表に出す人が少なかったからみんな少し驚いたし、一部のファンに偏って影響があるんじゃないか、と思うのではないか。それはわかりますが、多くのアーティストや、いろんな活動をする人が堂々と「私は世の中のこの問題に対して、自分の仕事の分野以外にもこういう思いを持ってる」「こういうメッセージを届けたい」「こういう声を聞いてほしい」ということを言えるようになれば議論がちゃんとできる。「みんないろんな声を上げていこう」っていうきっかけを堂々と作った、偉大な大先輩なんだと思いますね。

ホランキャスター:
様々な課題と向き合わなければならない時代を生きられた方だと思うんですけれど、真正面から「こういう課題がありますよ」と言われるよりも、自分が興味を持っている方や違うジャンルの方がメッセージとして発信してくださることで、なるほどそういう面もあるんだと気づきにもなりますよね。
若新 慶応大学特任准教授:
自分が好きなアーティストがまた別の意見を言ってる、それもありだと思うんですよ。「みんな意見は違うんだ」と。もっともっと声が増えればいいんだと思いますね。