子どもを守る切り札として、「AI=人工知能」を使った取り組みが注目されています。「こども家庭庁」も全国での導入を目指す虐待対応の「AI」とは。

AIで虐待死をゼロに 過去のケースを「見える化」

「もうおねがいゆるして」
「助けて、ママ。お願い」


これらは、虐待を受けて死亡した子どもたちが遺した言葉です。いずれも児童相談所が関わりながら、悲劇を防ぐことはできませんでした。

「子どもの虐待死をゼロに」。そう掲げるAI関連のベンチャー企業があります。


「一つ一つの子ども虐待の事例に向き合う時間をいかに確保するか」
「判断の質が維持・向上できるように『AI』を手段として使う」


AIを活用して子どもの命を守る「AiCAN」と呼ばれるシステムを開発しています。このシステムは、AIがこれまでに児童相談所が対応した虐待事例のデータを学習。子どもの傷や家庭の状態などを入力すると…

株式会社AiCAN 高岡昂太CEO
「AIが計算してくれて、『93%』という形で過去の保護率が高くなった」

過去のケースから見て、子どもを家庭から引き離す「一時保護」すべき度合いが瞬時に表示されました。

高岡代表は、AIを通じて過去の蓄積を「見える化する」といいます。

株式会社AiCAN 高岡昂太CEO
「(児童相談所で働く)皆さん本当にご苦労されてますけど、それを少しでも次の世代に繋げられるような仕組みがない。人が変わっても仕組みができて、専門性を底上げできる


虐待の相談件数は年々増加していて、昨年度は20万件あまりと過去最多に。一方、児童相談所は団塊世代などベテラン職員の退職が相次ぎ、勤続年数が3年に満たない若手が半数を占めている状態です。