■“過去最多”も調査はウクライナ侵攻以前 「さらに大惨事に」

また、この調査はロシアによるウクライナ侵攻の前に行われたもので、WFPのビーズリー事務局長はこうした要素に加え、「ウクライナ戦争が世界の飢餓をさらに大惨事に陥れる」と述べ、事態は悪化の一途を辿ると警鐘を鳴らしています。

というのも、ロシアとウクライナはともに小麦やトウモロコシなど、世界有数の穀倉地帯ですが、戦争により輸出が滞っています。


それに加え懸念されているのが、化学肥料の不足です。たとえば主要な「塩化カリウム」はロシアとベラルーシで世界シェアの4割近くを生産しており、制裁などで農家が使う肥料が不足すれば、作物の収穫量も減ることになります。

国連食糧農業機関は今後、数か月にわたって穀物輸出が停滞すれば、「世界で1300万人が栄養不足に陥りかねない」と試算しています。

■負の連鎖断ち持続可能な社会へ

食糧危機は、ほかの社会問題と複雑に絡み合い、解消するのは容易ではありません。

どのように利害を乗り越え、持続可能な社会を作っていくのか、人類の英知が試されています。

(サンデーモーニング 2022年5月8日放送)