世界で食糧危機に瀕している人が、約2億人となり、過去最多になったと国際機関が発表しました。主な原因は紛争ですが、調査はロシアによるウクライナ侵攻の前に行われており、戦争が長期化することで、事態がさらに悪化すると予測されています。
■世界の食糧危機 前年比4000万人増で過去最多に
WFP=世界食糧計画などは2021年、急激に食糧不足に陥り緊急支援が必要となっている人が、世界53の国と地域で1億9300万人にのぼったと発表しました。前の年から4000万人増え過去最多となっていて、直ちに行動するよう呼びかけています。

■食糧危機3つの主な原因とは?「紛争」「コロナ」に・・・
食糧危機の原因は、主に3つで、それぞれが複雑に影響し合っています。

最大の要因は「紛争」です。レアメタルをめぐる紛争が続くコンゴ民主共和国やイスラム主義組織タリバンが復権したアフガニスタン、内戦状態のエチオピアやイエメンなど紛争中の地域が全体の7割を占めています。
また、次いで多いのが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を含む経済的な悪化です。特にハイチやホンジュラス、グアテマラなど中米の国々が不況による混乱で、食糧難に陥りました。
そして、異常気象による影響です。絨毯のように大地を埋め尽くす黄色い昆虫。サバクトビバッタです。2020年にアフリカで大量発生し、ケニアなど広い範囲で農作物が食い荒らされるなど大きな被害が出ました。

サバクトビバッタは、干ばつのあとに大雨が降ると大量発生することが知られており、地域の食糧不足の一因となっています。
ほかにも過去40年で最悪の干ばつとなっているマダガスカルや、洪水に見舞われたスーダンなど、異常気象によって危機が深刻化しました。