「皿洗い」に手を挙げた学生 まるでスタッフの一員に
開店から1時間半が過ぎたころ、助っ人でずっと皿洗いをしていた74歳の「ノブちゃん」こと佐藤のぶ代さんが声を上げました。
(ノブちゃん)「お皿洗いの子、誰かタダで食べたい人いたら言ってや。ばあちゃん疲れた。ばあちゃんバテてんで」
(井上さん)「おばちゃんもうバテているから」
(客)「すみません、皿洗い」
(ノブちゃん)「お、すごい。初?」
(客)「初です。前の店でもしたことがない」
手を挙げたのは、王将時代から店に通っていた京都府立医大6年の加覽浩太郎さん(25)。加覽さんは鹿児島県出身。6年間の学生生活を送り、4月からは研修医として働く予定です。
(井上さん)「兄ちゃん、ごはんもっと食べるか。皿洗ってくれるんやろ、もっと入れたろか」
(加覽さん)「これで…」
(井上さん)「もういらんの」
(加覽さん)「大丈夫です。ありがとうございます」
井上さん、皿洗いをしてくれる学生を放っておけません。
食べ終わり、皿洗いへ向かう加覽さん。
(ノブちゃん)「加覽くんちょっとな、手を洗ってお冷やをひとつ入れてちょうだい。人使い荒いからな、ばあちゃんは」
(別の助っ人)「洗いものだけって書いているで」
(ノブちゃん)「本当やな」
なんだかスタッフの一員になったよう…。加覽さんも満足そうです。
(加覽浩太郎さん)
「いやもう、はやくやらないと、どんどん皿がいっぱいになっちゃうので。ちょっとでも皿洗いで恩返しになったかどうかわからないですけど、ちょっとでもマスターの気持ちに参加できたのならいいなと思って、これからも通い続けます」
その後も、井上さんは休む間もなく餃子を作り続けます。