死産した赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われたベトナム人元技能実習生、リンさんに対し、最高裁は、逆転無罪判決を言い渡した。

技能実習生だったベトナム人のリンさん(24)は2020年、熊本県の自宅で、死産した双子の赤ちゃんの遺体を遺棄した罪に問われ、一・二審で執行猶予付きの有罪判決を言い渡された。

しかし、最高裁はリンさんが遺体をタオルで包み段ボール箱にいれ、自宅の棚に置いた行為について「『遺棄』には当たらない」として逆転無罪を言い渡したのだ。

リンさんは、妊娠を周りに相談することはなく、病院にも一度も行ってなかった。2020年11月、一晩中「家が壊れるほどの激痛」に何度も見舞われながら、自宅でひとり双子の赤ちゃんを死産した。「血まみれのマットレスの上に子どもたちを置いておけない」。遺体をタオルで包み、段ボール箱に入れて棚に置いた。赤ちゃんは男の子。ベトナム語で「強くたくましく」などの願いを込めて「コイ」「クオイ」と名付けた。

リンさんが遺体に添えた手紙。「双子の赤ちゃんごめんね。天国で安らかに眠ってください」 提供:コムスタカ―外国人と共に生きる会

翌日訪れた病院で、死産を打ち明けた。すると医師に通報され、死体遺棄の罪で逮捕・起訴された。死産から約33時間、遺体を自宅に置いていたことが罪に問われたのだ。

「絶対に子どもたちの体を傷つけたり、捨てたり、隠したりしていません。精神的にも肉体的にも非常に苦しい中、できる限りのことをしました」(リンさん)

遺体を置いていた棚 提供:コムスタカ―外国人と共に生きる会

リンさん側は「後で埋葬するつもりだった」と一貫して無罪を主張してきた。一審の熊本地裁は懲役8か月・執行猶予3年の有罪。二審の福岡高裁は、遺体を置いていたのは短時間で「放置していたとは言えない」として一審判決を破棄したが懲役3か月・執行猶予2年を言い渡した。弁護側は最高裁に上告した。