南條さんと飼育員仲間

南條さんは、情報を求めて、全国を巡りました。

飼育員 南條幸夫さん:
「いろいろな動物園に行ってですね。『お前、また来たのか』と言われるぐらい。とにかく名前と顔を覚えて頂かないと、いろいろ情報を頂けないので」

南條さんが何度も足を運んだ動物園の一つが、京都にあります。

京都市動物園。
悩んでいた自分を受け入れてくれた動物園。定年を前に八木山の後輩の飼育員とともに訪れました。

飼育員 南條幸夫さん:
「京都市動物園に来ると、飼育の方たちとご一緒させて頂いて、いろいろ教わったのが懐かしいな、というのがありますね」

ここにいるのは、アジアゾウ。南條さんの悩みに応えてくれたのは、一人の男性飼育員でした。

4年前に退職した栁本博さん。年は五つ上。南條さんがゾウ担当になった時には、既に名の通った飼育員でした。

飼育員 南條幸夫さん:
「『栁本さんの現場を見に行かせてください』とお話したら、栁本さんは『いいよ、待ってるよ』って。足の動かし方、鼻の動かし方、すべて一つ一つに意味があると言う事を。繊細に動物と接する方でした。スペシャリストでしたね」

南條さんは幾度となく、栁本さんを訪ね、ゾウとの信頼関係の築き方を学んでいきました。

飼育員 南條幸夫さん:
「対動物、と言うのではなく、フレンドリーにゾウと仲良くすると。一緒の仲間という感覚が強い中で、きっちりとゾウとの関係を作っていたので。参考にさせてもらった部分は大きいですね」

栁本さんの退職後、アジアゾウの飼育は後輩の飼育員が引き継いでいます。
後輩に南條さんが話したことは。

南條幸夫さん:
「皆さん、分かるかな、栁本さん。栁本さんのこと、もっちゃん、もっちゃんと言わせて頂いて、ずっと通わせてもらったんですけど。実は八木山のアフリカゾウ舎は京都市動物園の古いゾウ舎の物真似なんです。八木山に造るんだったら、この造りだなって言うことで、造らせてもらったのが八木山のゾウ舎」

栁本さんの後輩の岩橋宣明さん。当時の南條さんを知る一人です。

岩橋宣明さん:
「飼育員さん、職員が入るお風呂があるんですが、そこに多分入られた(他園の)人は、唯一、南條さんだけですよ。一緒に」

飼育員 南條幸夫さん:
「三度くらい、入れて頂いているので。京都市動物園のお風呂に」
岩橋宣明さん:
「南條さんとしゃべってて、『勉強するんだったら、外に出たらあかん。京都市動物園には栁本さんがいるから、栁本さんのやっている事を見ろ』と言われました」

岩橋さんにとって、南條さんも目指すべき存在です。

岩橋宣明さん:
「すごいと思います。もう職人ですね。(定年退職しても)ゾウの世界には、本当に関わり続けて欲しい存在ですね」

そして八木山にも、ともに歩んできた仲間がいます。