77年前、広島と長崎に投下された原子爆弾。被爆者の高齢化が進む中、被爆者とその子ども世代がともに体験を語り継ぐ団体が結成され、岡山市北区で初めての会合が開かれました。世界情勢が混迷を極める中改めて核なき世界を訴えます。

「被爆二世としてしっかりと考え方をもって世間に訴え、後世に伝えていく必要がある」

広島や長崎で被爆した人を親に持つ、岡山在住の被爆二世らによる「岡山県原爆被爆者会二世部会」です。一昨年発足し、新型コロナの影響で延期が続いていましたが、このほど初めての会合が開かれました。ロシアのウクライナ侵攻に危機感を強めています。

「核を使ったらダメですよ。だから使わさないようにする」

原爆を経験した人は高齢化の一途を辿っています。そこで被爆した人と二世とで手を取り合い、「二度と悲劇を繰り返してはならない」という思いを伝えていこうと結成したのが被爆者会二世部会です。

「高齢化した被爆者に残された時間はわずかです。力のある限り平和を願う皆様とともに、核兵器も戦争もない世界に向かって歩み続け活動して参ります」

多くの命を奪った原子爆弾。会合には幼い頃被爆した人も訪れ自らの体験を二世に伝えます。

(被爆者・大西福男さん(81))
「大きな防空壕に飛び込んだんですよ。横になったら黒い水が入ってきて防空壕の中が真っ黒になった」

ウクライナ情勢など世界に暗雲が立ち込める中、二世らは、核の悲劇を繰り返させてはいけないと、使命感を強めています。会合ではロシア大使館に「二度と広島・長崎の悲劇は繰り返してはならない」と核兵器のない平和な世界を訴える文も採択しました。

(被爆二世・加百智津子さん(72))
「被爆者を親に持つ被爆二世としても、ひとりの人間としても核兵器の使用はやめてほしいという、とどめさせることはとても大事だし、私たちの使命でもあるかなと」
(被爆二世・村上佳穂さん(62))
「私も二世ですから、力を込めて話したけど、自分が本当に体験したわけじゃないでしょ。でもその体験を聞いたときに心にきた。被爆者に代わるなんてことはありえないから、そのままを正直に語るのが継承の形だと思います」

いまとなっては数少なくなった被爆者の生の声を受け継ぎ、次の世代に伝えていく被爆者会二世部会です。